コロナ禍において、商業施設(ショッピングセンター)の在り方も変化しています。新しい在り方に必要な管理体制を整え、従業員が働きやすい環境を作り出していく必要があるでしょう。そのために役立つのが、DXです。
ここでは、商業施設ならではの課題とDXによる課題の解決法のほか、商業施設のDX事例をご紹介します。
目次
商業施設ならではの課題
商業施設の大きな特徴に、働くスタッフの多くが直接雇用ではなく、各テナントに雇用されているスタッフであるという点が挙げられます。これは、ひとつの店舗ではなく、複数のテナントの集合で成り立つ商業施設ならではの特徴です。
バリエーション豊かなテナントが入っていることは、商業施設の大きなセールスポイントだと言えるでしょう。しかし、ひとつのテナントではなく複数テナントが入居しているからこそ生じてしまう課題も存在しています。
商業施設ならではの課題について、商業施設の運営側と、商業施設のテナントで働くスタッフ側それぞれの立場から見ていきましょう。
商業施設の運営側の課題
「複数のテナントが入居している」という商業施設の特徴に起因する運営側の課題は、大きく3つ挙げられます。
従業員証の発行に関する課題
商業施設内のテナントに新しいスタッフが入った際は、商業施設の関係者であることを示す従業員証を発行することが多いです。しかし、従業員証の発行には多くの手間や時間、コストがかかります。
商業施設の従業員証を発行する手順は、下記のような流れで行われます。
<従業員証の発行手順>
- オペレーションセンターに各テナントの店長から届け出が行われる
- 仮入館証を発行する
- 新しく入ったスタッフに商業施設で働く上で必要な研修を行う
- 正式な従業員証を発行する
商業施設のスタッフにはアルバイトやパートが多いため、人員の入れ替えも不定期かつ頻繁で、スムーズに手続きが進まないこともあり、結果、時間やコストが膨れ上がってしまいます。
さらに、発行済みの従業員証の管理という問題もあります。スタッフが退職した場合は従業員証を回収しなければいけません。きちんと回収ができているかどうかを確認するためには、定期的に実際の利用実態とアカウントを照らし合わせる棚卸しが必要ですが、これにも多くの手間と時間がかかります。
入退館管理に関する課題
どの商業施設であっても、スタッフの入退館時には従業員証の確認を行います。しかし、受付で従業員証を提示する従来の方式では、細部までをしっかり確認することができません。
遠目に「それらしい従業員証を持っている」ということをチェックするだけでは、本当に本人の従業員証なのか、コピーや偽造されたものではないかといったことまではわからないでしょう。これでは、セキュリティが十分とは言えません。
また、目視での従業員証確認はしていても、入退館時間や誰が入館しているのかといった記録はとっていない場合がほとんどです。現在、施設内にいるスタッフを把握できていないことになりますから、万一の際の管理体制にも課題が残ります。
情報の周知に関する課題
通常、商業施設の運営側は、各テナントで働くスタッフと直接のつながりを持っていません。そのため、点検や防災訓練といった施設全体にかかわる情報は、バックヤードに紙で貼って周知する場合がほとんどです。しかし、このやり方では本当に情報が十分伝わっているか確認することができません。
特にコロナ禍や災害時においては、急きょ営業時間が変更されるケースなどもあるでしょう。このようなときも、各店舗を通してのやりとりとなるため、スピードと確実性が下がる上に、手間もかかります。
商業施設で働くスタッフ側の課題
商業施設で働くスタッフ側の課題は、「現地に行かないと営業時間などの情報がわからない」「申請書の提出や研修の受講など、入職後の従業員証発行手続きが面倒である」といったことが挙げられます。
どちらも、商業施設運営側の抱える課題と関連する内容です。
情報伝達と従業員証の発行については、運営側、スタッフ側双方が課題を感じていることだと言えるでしょう。なお、従業員証の発行手続きが面倒だからと、仮の従業員証のまま出入りを続けてしまうスタッフもいます。このようなスタッフの存在は、運営側にとっての管理上の課題にもなります。
商業施設がDXを進めることで課題を解決できる
商業施設がDXを進めることで、運営側やスタッフが抱える課題を解決することができます。
従業員証の発行に関する課題の解決法
従業員証をデジタル化することで、発行手続きが容易になります。特に、ICカードなどを発行することなく個人のスマートフォンを従業員証代わりにできるデジタル従業員証であれば、現物のカードを発行・管理する手間がなくなり、対応時間も短縮され、業務を大幅に効率化できるでしょう。
スタッフ側も、アプリ上から従業員証発行申請手続きができるため面倒がありません。退職時も、アプリの権限を無効化すれば手続きが完了するため、従業員証の返却・回収といった業務がなくなります。
また、定期的に行われる従業員証の棚卸し作業についても効率化や、パウチカードのような物理的な従業員証の制作コストのカットも可能です。
入退館管理に関する課題の解決法
入退館ログを取れるデジタル従業員証を利用することで、誰が何時に入退館したのかをデータとして記録することができます。館内にいるスタッフの把握も容易で、セキュリティレベルの向上に役立ちます。
情報伝達に関する課題の解決法
商業施設から各スタッフに対して通知を送れるシステムを構築することで、営業時間や防災訓練といった各種のお知らせを簡単に配信できるようになります。また、地震などの災害時にも一斉に各スタッフに通知が可能になります。これは、運営側にとってもスタッフ側にとっても大きなメリットです。
このほか、研修をオンラインで行うことで業務効率化を進めることも可能です。特にコロナ禍においては、人を集めにくく研修ができないといった問題もありますが、オンライン研修やマニュアル動画の閲覧といった方法であれば、このような状況下でも問題なく研修を行えます。
商業施設のDXは、施設を運営する側にとって多くのメリットがあると同時に、スタッフの働きやすさにもつながります。スムーズな情報伝達や従業員証発行手続きの簡便化、従業員証を持ち歩く必要がなくなるデジタル従業員証の導入などを通し、従業員満足度の向上を目指しましょう。
「はたLuck®︎」で商業施設のDXを進めよう
「はたLuck®︎」は、商業施設のDXに役立つ機能を複数搭載した店舗マネジメントツールです。ここからは、「はたLuck®︎」の代表的な3つの機能についてご紹介しましょう。
デジタル従業員証機能
デジタル従業員証機能とは、施設の入退館時に必要な従業員証をアプリで発行できるものです。現物のカードを発行しないため、発行・管理の手間やコストが削減できる上、紛失リスクも軽減できます。
利用手順は下記のとおりです。
<デジタル従業員証の利用手順>
- スタッフが自分の端末から発行申請を行う
- 「はたLuck®︎」アプリ上でQRコードを発行する
- 商業施設入口の端末にかざすことで入退館手続きを行う
QRコードは一定時間経過すると更新されるため、使い回しはできません。さらに、入退館のステータスに応じたシステムの利用制御も可能です。「研修動画は入館中しか見られない」といった設定もできるため、セキュリティの向上につなげられます。
施設のオペレーションセンターからの情報発信機能(お知らせ機能)
施設のオペレーションセンターから、全テナントのスタッフ宛に一斉に情報発信ができる機能も商業施設のDX化に役立ちます。災害時や緊急事態発生時、スムーズに全スタッフに情報伝達ができるほか、福利厚生サービスなどのお得な情報の発信もできます。また、施設側の管理画面では、情報の開封率を確認することが可能です。
e研修機能
e研修機能とは、従来、大人数を集めて対面式で行っていた研修をアプリ内で行える機能です。テキストや画像、動画などを配信できるため、各スタッフの都合の良いタイミングで研修を受けたり、見返したりできます。
「はたLuck®︎」を利用した商業施設のDX事例
最後に、「はたLuck®︎」を活用した商業施設のDX事例をご紹介します。
三井不動産グループ
「三井ショッピングパーク ららぽーと」や「三井アウトレットパーク」を運営する三井不動産グループ様は、「はたLuck®︎」の機能を活用した「三井ショッピングパーク Staff Circle」を導入されています。
<三井ショッピングパーク Staff Circleで利用できる主な「はたLuck®︎」の機能>
- デジタル従業員機能
- 入退館管理機能
- 施設からの緊急連絡を含むリアルタイムでの業務連絡送信機能
- 店舗内コミュニティー機能
- 研修動画の配信機能
- スタッフ向け優待サービス情報配信機能
これまで各ショップの店長を通して行っていた情報伝達を運営側が直接行えるようにしたことで、情報をリアルタイムでスタッフ全員に行き渡らせることができるようになりました。発信された情報は、各スタッフのアプリからプッシュ通知が届くため、見落としのリスクも少なくなっています。
また、災害時の連絡なども直接行えるようになったことで、非常時にもスムーズな情報共有が可能に。スタッフからも、「コロナ禍での営業時間変更といった連絡が、リアルタイムで直接届いて便利」といった評価を得られているということです。
株式会社ダイドーフォワード
『アプリひとつでここまで解決できる!アナログな企業にこそ試してほしいSC運営の業務効率化』
神奈川県小田原市でエリア最大級のショッピングモール「ダイナシティ」を運営する、株式会社ダイドーフォワード。約2,000名に及ぶテナントスタッフの入退館管理や連絡業務を効率化し、よりテナントに寄り添った運営サポートを実現するため「はたLuck®」の導入を決定されました。
株式会社横浜岡田屋
『デジタルツールで業務効率化に成功。館を支えてくれるテナントさんの働きやすい環境づくりも実現』
横浜岡田屋は、神奈川県内で都市型ショッピングセンター「MORE’S(モアーズ)」を運営しています。少人数による、より効率的な施設運営を実現するために、デジタルツールの導入を検討されていました。他のツールもあるなかで「はたLuck®︎」を選んだ理由や導入経緯、その後の変化について聞いています。
「はたLuck®︎」で商業施設のDXを進めよう
商業施設の業務効率化や従業員満足度の向上のために、従来のやり方を見直し、DXを進めましょう。
「はたLuck®︎」には、商業施設の課題を解決できる機能がそろっています。さらに、シフト作成機能のようなテナント向けの業務効率化機能も搭載されていますから、商業施設、スタッフ、テナントの三者にとってメリットがあります。
詳細な機能や、施設の状況に合わせた効果的な取り入れ方などについては、「はたLuck®︎」のオンライン相談会でお気軽にご相談ください。
【商業施設・SC向け】はたLuckサービス概要資料、導入事例集
デジタル従業員証・入退館管理や、全従業員向けに一括配信が可能なお知らせ機能など、商業施設運営の業務効率化につながる機能をご用意しています。導入事例集も一緒にダウンロードが可能です。
店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。