
飲食業界の離職率は26.6%と、全産業平均の15.4%を大きく上回っています。これは約4人に1人が1年以内に職場を離れている計算です。人手不足が深刻化する中、採用コストをかけても定着しない、現場スタッフの負担が増加する、結果的にサービス品質が低下するという悪循環に悩まされていませんか?
この問題を解決する鍵が「ES(従業員満足度)」の向上です。従業員満足度を高めることで、離職率の低下だけでなく、サービス品質の向上、そして顧客満足度アップにつながる好循環を生み出すことができます。
この記事では、飲食業界特有のES低下要因を4つ分析し、今すぐ実践できる具体的な向上施策を紹介します。風通しの良い職場づくりから評価制度の見える化まで、現場ですぐに取り組める対策をぜひご活用ください。
目次
飲食業界におけるES(従業員満足度)とは?
ES(従業員満足度)とは、従業員が職場環境や仕事内容、待遇などにどれだけ満足しているかを示す指標です。
飲食業界では、このESが顧客満足度や売上に直結する重要な要素となっています。しかし残念ながら、飲食業界は全産業の中でもES が低く、離職率の高さという形でその課題が顕在化しています。
さらに昨今の飲食業界では、最低賃金の上昇、物価高、生産性の低さ、採用難易度の高さなどの影響により、スタッフ一人ひとりの生産性を上げたいという企業の意向はあるものの、給与を大幅に上げることは難しいのが現実です。
そこで注目されているのがESで、従業員満足度を向上させることは結果的に企業の収益向上に繋がるとする「SPC(サービス・プロフィット・チェーン)理論」に基づく考え方に基づきます。
飲食業界では、お客様と直接接する機会が多いため、スタッフの態度や接客品質が顧客体験に大きな影響を与えます。だからこそ、ESの向上は単なる福利厚生の充実ではなく、ビジネスの成功に不可欠な要素として認識されるべきなのです。
飲食業でES(従業員満足度)が低下する4つの要因

飲食業界では、ESの低さが離職率の高さに直結しています。
では、なぜ飲食業界では従業員満足度が低下してしまうのでしょうか。ここでは、主な4つの要因について詳しく見ていきましょう。
要因1:職場の人間関係とコミュニケーション不足
飲食業界では、繁忙時のストレスや世代間ギャップ、情報共有不足が職場環境の悪化を招いています。ランチタイムやディナータイムのピーク時は、スタッフ全員が目の前の業務に追われ、声をかけ合う心の余裕がなくなりがちです。
また実務に追われ、上司と部下で時間をとって話し合う機会も少なく、不満を解消するタイミングも取れないことが多いのが現状です。さらに飲食業界では、言語や国籍が異なる外国人スタッフ、年齢差の大きいパート・アルバイト、正社員と非正規雇用など、働き方や働く目的が異なる多様な人材が同じ職場で働いています。
そうした環境下だと、上下のコミュニケーションだけでなく、同僚間の横のコミュニケーションにも課題が生じやすくなります。
要因2:仕事へのやりがいやモチベーションの喪失
単調な業務の繰り返し、顧客からの理不尽なクレーム対応、そして努力を認められない環境が、従業員の意欲低下を招く要因にもなります。
飲食業は提供するサービス内容が大きく変わらないので、ルーティンワークになりがちです。
毎日同じことの繰り返しだと成長実感を得ることが難しく、さらに理不尽なクレームに対応しなければならないストレスや、頑張っても誰からも感謝や承認をされない状態が続くと、従業員のやりがいも徐々に薄れていきます。
このように、やりがいを感じられない環境が続くことで、モチベーションは徐々に失われ、最終的には離職へとつながってしまうのです。
未然に従業員の離職を防ぐには、従業員の気持ちの変化にいち早く気づくことが重要です。
とはいえ、従業員同士ゆっくり話す時間もなければ、直接話しづらいこともあります。
そこで、簡単なサーベイを実施して従業員のエンゲージメントを可視化できるはたLuckがおすすめです。
スマホアプリで簡単にシフトワーカーの業務効率化から心理的なサポートまで幅広く対応できます。
要因3:給与水準の低さと評価制度の不透明さ
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、全体の平均給与が478万円に対し、宿泊・飲食業界の平均給与は295万円と約180万円の差があります。
サービス業全体として給与水準が低い傾向にあり、これが従業員満足度を下げる大きな要因となっています。
ただし、最低賃金の上昇などにより改善傾向にあることも事実です。
より深刻な問題は、評価制度の不透明さにあります。
「何をしたら昇給するのか」「どんなスキルや能力を身につけたら評価されるのか」が不明確なため、従業員は頑張りが給与に反映されにくいと感じ、努力する意欲そのものを失くしてしまいます。
要因4:社員への労働負荷の増加
飲食業界では、仕込みからお店の開店時間を含めると拘束時間が長くなりがちです。
飲食業界における長時間労働の問題は是正されてきてはいますが、社員への労働負荷は依然として大きな問題として残っています。
例えば正社員の場合、シフト勤務のパート・アルバイトスタッフの負担を減らすために、自ら長時間勤務をせざるを得ない状況があります。
また、昨今の物価高や売上の減少によって人を雇いたくても雇えない状況が続き、最小限の人数で店を回さざるを得ず、社員の負担が増えてしまうことも要因の一つです。
今すぐ実践できる!飲食業のES向上施策4選
ここまで見てきたESが低下する4つの要因を踏まえ、具体的にどのような施策を実践すればES向上につながるのか、今すぐ取り組める対策を紹介していきます。
施策1:風通しの良い職場づくりとチームビルディング
朝礼や終礼での情報共有を徹底したり、社内イベントを実施したりすることで、コミュニケーション不足の解消や目標意識の醸成につながります。
また、意見箱やアンケートを活用して現場の声を吸い上げる仕組みづくりも効果的です。
チームビルディング研修や、懇親会・レクリエーションといった社内イベントの開催は、日頃の業務では見えない従業員同士の新たな一面を知る機会となり、コミュニケーションの活性化につながります。
多様な人材が働く飲食業界だからこそ、お互いを理解し合える場を意図的に作ることが重要です。
施策2:従業員の貢献を認める表彰・感謝制度の導入
月間MVP制度や感謝カード文化を導入することで、従業員が「認められている」という実感を持つ機会になります。
月間・年間MVP、部門別表彰といった表彰制度は、従業員の承認欲求を満たす効果的な施策です。
特に、サンクスカードの活用は手軽に始められる取り組みとして注目されています。店長からの感謝メッセージや、お客様からいただいた好意的な声をスタッフに共有することも、モチベーションの向上につながります。
日々の小さな貢献を見逃さず、言葉にして伝える文化を職場に根付かせることが、やりがいを生み出すきっかけにもなるので積極的に取り組んでみましょう。
施策3:公正な評価制度と給与体系の見える化
明確な評価基準を設定し、定期的なフィードバック面談を実施することは、給与への不満を解消する手段になり得ます。
目標管理制度(MBO)を導入し、個々の目標達成度を可視化することで、評価の不透明性をなくすことができ、従業員としても成長実感を得やすくなるので効果的です。
定期的な面談の場を設けるのは難しい点もあるかもしれませんが、短時間でも上司が部下の悩みや要望を直接聞く機会を設けられると、従業員に安心感を与えることにもつながるので、取り入れてみてはいかがでしょうか。
施策4:シフト管理システムの導入と適正な人員配置
シフト管理システムの導入と適正な人員配置により、過重労働を減らす効果が期待できます。
ICTツールを活用したシフト最適化では、過去のデータから繁忙時間帯を予測し、必要な人員を事前に配置することが可能になります。
ピークタイム予測に基づく人員配置は、特定のスタッフに負担が集中することを防ぎます。
また、計画的な休暇取得制度を整備し、従業員が安心して休める環境を作ることも重要です。ワークライフバランスの実現は、従業員の心身の健康を守るだけでなく、長期的な定着率向上にもつながる投資と言えます。
はたLuckは事前に曜日・時間帯の予算に応じた人員体制を設定しておくことで、ばらつきの少ない適正なシフト作成が可能です。
ESの測定方法:満足度を継続的に把握する方法
ES向上施策を効果的に進めるためには、まず現状を正しく把握することが第一歩です。従業員が何に不満を抱えているのか、どこに改善点があるのかを明確にするための測定方法を紹介します。
方法1:従業員満足度調査(ES調査)の定期実施
四半期ごとにアンケート調査を実施することで、従業員の不満を早期に発見し、迅速な対策につなげることができます。
ES調査を設計する際は、質問項目を明確にし、匿名性を確保することで、従業員が本音を答えやすい環境を整えることが重要です。
回答率を向上させるためには、調査の目的を丁寧に説明し、結果をどのように活用するのかを事前に伝えるようにしましょう。
無料で使えるアンケートツールも多数存在しますが、飲食業界のような多様な雇用形態が混在する職場では、パート・アルバイトを含む全従業員から確実にデータを収集できる仕組みが求められます。
ここで活用できるのが「はたluck」です。
シフト勤務の全従業員が日常的に使用する業務アプリだからこそ、スマホから2ヶ月に一度、わずか1分でサーベイを取得することができます。
LINEなどの一般的なコミュニケーションツールでは実現が難しい、業務と連動した確実な調査を行えるのが大きな特徴です。
方法2:離職率・定着率などのデータ分析
入社3ヶ月、1年、3年といった節目での定着率を追跡することで、課題がどこにあるのかが明確になります。離職率、勤続年数、欠勤率、有給取得率といった指標を継続的に収集・分析し、データに基づいた改善アクションにつなげることが重要です。
「はたluck」では、労務データと連携することで、職場内コミュニケーションの違いによる職場単位の離職傾向やエンゲージメントの違いを可視化できます。これにより、特定の店舗や部門で離職率が高い場合、その原因を深掘りして対策を講じることが可能になります。
ES向上には従業員の声を聴き続けることが不可欠

ここまで飲食業におけるESの重要性、ESが下がる要因とその解決策について解説してきました。
改めてESを向上させるために一番重要な要素と、その要素を実現するためのはたLuckのツールについて紹介します。
従業員の不満や要望を把握する仕組みづくりが成功の鍵
ESの継続的な改善には、現場の声を拾い上げる文化と仕組みが必須です。
本記事でESを下げる4つの要因(職場の人間関係、やりがいの喪失、給与と評価制度、労働負荷の偏り)を紹介しましたが、どれも現場の声を拾い上げることから対策が始まると言っても過言ではありません。
今回ご紹介したような施策を実施したとしても、一度施策を実施したら終わりではなく、定期的に従業員の声を聞き、状況の変化に応じて改善を続けていくことが重要です。
経営層や管理職が現場の実態を正しく理解し、従業員との対話を大切にする文化を築くことが、ES向上の成功の鍵となります。
はたLuckで従業員の本音を可視化し、ES向上を実現
従業員の満足度や不満をリアルタイムで把握できるツールの活用が、離職防止の第一歩となります。
「はたLuck」は、従業員の声を継続的に収集する機能、収集したデータを分析する機能、そして具体的な改善アクションを提案する機能を備えています。
特に注目すべきは、2ヶ月に一度サーベイを取得することで、早期にアラートを感知し、問題が深刻化する前に打ち手につなげられる点です。日々の業務で使用するアプリだからこそ、パート・アルバイトを含む全従業員の声を確実に集めることができ、現場の実態に即したES向上施策を展開できます。
飲食業界の人材定着と生産性向上を実現するために、ぜひ「はたluck」の活用をご検討ください。
この記事の監修

滝澤美帆
学習院大学 経済学部 教授
専門はマクロ経済学・生産性分析・データ分析。2008 年一橋大学博士(経済学)。日本学術振興会特別研究員(PD)、東洋大学、ハーバード大学国際問題研究所日米関係プログラム研究員などを経て、2019 年学習院大学准教授。2020 年より現職。現在、産業構造審議会、中小企業政策審議会など複数の中央省庁委員や東京大学エコノミックコンサルティング㈱のアドバイザー、企業の社外取締役を務める。
著書に『グラフィックマクロ経済学第3版(宮川努氏・外木暁幸氏との共著)』(新世社)などがある。

店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。
