ショッピングセンターや商業施設などのテナント管理においては、スタッフの管理や各種情報共有のほか、退去時の原状回復工事の調整や契約更新業務など、通常の店舗運営とは異なる業務が数多くあります。
従来のアナログな手法での管理では、テナントの数が多ければ多いほど、管理者の負担は増えていきます。このようなテナント管理の負担を軽減する方法のひとつが、デジタルツールを活用したDX化です。
この記事では、テナント管理のDX化を進めるメリットを解説していきます。また、テナント管理に役立つツールのご紹介もしていますので、DX化を検討されている方はぜひお役立てください。
目次
テナント管理の業務内容
テナント管理における特徴のひとつは、スタッフのほとんどが直接雇用ではなく、テナントごとに雇用されている点です。また施設によっては、飲食店やアパレル、美容室、クリニックなど、複数の業種のテナントを管理するケースもあります。
多業種かつ複数のテナントが入居している施設では、スタッフの入退館管理やテナントからの問い合わせ対応など、多岐にわたる管理業務が発生します。それぞれの業務内容について、詳しく見ていきましょう。
施設従業員の管理(入退社/入退館等)
テナント管理における主な業務のひとつが、施設従業員の入退社/入退館などの管理です。
施設内のテナントに新しいスタッフが入った際は、施設関係者であることを証明するための従業員証を発行するケースがほとんどです。
新しいスタッフが入った場合、各テナントの店長から施設への届け出が行われ、その後従業員証を発行する流れとなります。
なお施設によっては、従業員証を発行する前に、新しいスタッフに向けてその施設で働く上で必要な研修を行うこともあります。その場合はまず仮の従業員証を発行し、研修後に正式な従業員証を発行するので、発行業務に2倍の手間がかかります。
またスタッフが退職した場合は、従業員証を回収しなければいけません。各テナントのスタッフはアルバイトやパートであることも多く、人員の入れ替えが不定期、かつ頻繁に起こります。回収もれが発生しないよう、各テナントに発行している従業員証の利用実態を定期的にチェックする必要があります。
加えて、スタッフの入退館管理も重要です。セキュリティの観点から、ほとんどの施設では入退館時に従業員証のチェックをおこないます。従来から多くの施設で取られているチェック方法は、スタッフが受付で提示した従業員証を目視で確認するやり方です。また、スタッフの出勤時間にはばらつきがあるため、施設の営業時間中は常に人員を配置する必要があります。
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施設運営に関わる情報共有、依頼、問い合わせ対応
施設の運営に関わる情報共有、各テナントからの依頼や問い合わせへの対応も、テナントの管理において多く発生する業務です。
通常は、テナント管理者側と各テナントのスタッフとは、直接の連絡手段を持っていません。そのため、情報共有・依頼・問い合わせなどは、各テナントの店長を介してやりとりするケースがほとんどです。
たとえば、防災訓練や設備点検、営業時間の変更など施設に関わる情報は、まず各テナントの店長に伝え、店長から各スタッフへと周知されます。なお、各テナント共有の休憩室がある施設では、休憩室に紙で掲示する場合もあります。各テナントからの依頼・問い合わせにおいても同様に、店長を介して対応するケースがほとんどです。
しかしこれらの方法では、各スタッフに情報が伝わるまでのスピードが遅く、スタッフ全員に確実に情報が伝わっているのかどうかが確認できない上に、手間がかかります。
退去時の原状回復工事に関わる各種調整
各テナントは、退去する際には内装を入居時の状態に戻した上で退去しなければいけません。これを「原状回復」と言います。テナント管理者は、退去における原状回復工事に関わる各種調整を行う必要があります。
通常、原状回復費用はテナント側が100%負担します。原状回復の範囲は施設によって異なりますが、ほとんどの場合は経年劣化や破損も修理し、入居時と同じ状態に戻す必要があります。
原状回復の範囲は、多くの場合入居時に交わした契約書に記載されています。退去の連絡が来たら、テナント管理者はその内容にもとづいて原状回復を依頼します。しかし、「つい最近変えたばかりの電球も新品と交換するのか」「この破損は入居時からあったのでは?」といった問い合わせがテナントからある場合も少なくありません。
またほとんどの場合、原状回復工事には施設指定の業者を使いますが、中には「工事費用をおさえるために別の業者を手配したい」とテナントから相談されるケースもあります。これらの調整業務には、膨大な手間がかかります。
契約更新に関わる業務
テナントの賃貸契約には、必ず契約期間が定められています。契約期間は、2年もしくは3年であるケースが多く、更新時期が近づいたタイミングで、テナント管理者は契約更新についての連絡をおこないます。
テナントが更新を希望する場合は、契約更新書類を取り交わします。更新料の支払い手続きもあわせておこないます。また契約更新のタイミングで、テナントから契約の諸条件の見直しを求められることもあります。この場合、テナントとの交渉や契約内容の変更などの業務が生じます。
なお、施設によっては賃貸借契約が自動更新となっているケースもあります。この場合、テナントからの退去の意思表示、もしくはテナント管理者側からの解約通知をおこなわない限りは、契約は自動更新されます。
レポーティング・入出金の管理
施設全体の運営状況をまとめるレポーティングや入出金の管理も、テナント管理者が行う業務です。
レポーティングでは、各テナントの入金状況や未収金状況などを記録し、月次・年度ごとにレポートを作成します。施設全体の収支やキャッシュフローを把握するための重要な業務です。
入出金管理では、賃料や共益費、水道光熱費などをテナント側へ毎月請求し、入金があったかどうかを確認します。また、水道局や電力会社、工事業者などへの支払いも、滞りなく行う必要があります。
レポーティングや入出金管理は、日々、各テナントへの対応で忙しいテナント管理者にとっては大きな負担となる業務です。
テナント管理のDX化を進めるメリット
このように、テナント管理業務は多岐にわたります。従来は紙ベースでの管理など、アナログな手法で業務を行うケースがほとんどでしたが、管理業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることで、大きなメリットがあります。
施設運営にかかる業務負荷低減を図れる
テナント管理のDX化を進めることで、施設運営における業務負荷を大幅に減らすことができます。
たとえば、従業員証をデジタル化すると、発行・回収にかかる業務負担を低減できます。従業員証の発行手続きができるアプリを使用すれば、スタッフからアプリ上で申請をしてもらい、テナント管理者はアプリ上で従業員証を発行することができるので、双方にとって手続きが容易となります。
また個人のスマートフォンを従業員証代わりにできるので、現物のカードを管理する手間がなくなり、効率化につながります。
デジタル従業員証を利用すれば、誰が何時に入退館したかをデータとして残すこともできます。館内にいるスタッフを把握できるようになり、管理体制の強化にも役立ちます。
施設で働く従業員一人ひとりに情報を届けることができる
各テナントのスタッフ一人ひとりに直接情報を届けられるアプリを導入すれば、施設からの情報を簡単に共有できるようになります。
防災訓練や設備点検のお知らせのほか、火災や地震など緊急を要する災害時の連絡も、全スタッフにスピーディーに届けることが可能です。スピーディーな情報共有は、危機管理の面においても大きなメリットがあります。
オンライン上で研修を実施できる
アプリを介してオンライン上で研修を行うことも可能になります。
集合研修や紙ベースでのマニュアル共有など、従来の方法では多くの手間やコストがかかっていました。オンライン研修やマニュアルのデータ化・動画化などを行うことで、業務の効率化につながります。またコロナ禍のように対面研修を開催しにくい状況下であっても、問題なく研修をおこなえます。
スタッフの従業員満足度向上に寄与できる
テナント管理のDX化は、管理者側のメリットに加えてスタッフの働きやすさにもつながります。従業員証のデジタル化による発行手続きの簡略化、スムーズな情報共有など、施設とスタッフの連携がスムーズに取れるようなシステムを構築し、従業員満足度の向上を目指しましょう。
テナント管理の効率化にはツールの導入が必須
デジタル化が進む昨今、あらゆる業界でDXの導入が進んでいます。ショッピングセンターや商業施設においても、例外ではありません。
しかし、DX化に興味を持ちながらも「そもそも何から始めたらいいのかわからない」という理由から、DX化に踏み切れないケースも多いのではないでしょうか。
そこで役に立つのが、テナント管理に役立つ機能が備わっている、専用のデジタルツールです。テナント管理に特化したツールを導入することによって、従来のアナログなやり方では膨大な手間やコストがかかっていた管理業務の効率化を進めることができます。
テナント管理に役立つツール「はたLuck®」
「はたLuck®︎」は、ショッピングセンター、商業施設に特化した施設マネジメントアプリです。テナント管理に役立つ機能を多数備えています。
✉️SC・商業施設向け「はたLuck®︎」の資料をダウンロードする
ここからは、「はたLuck®︎」の代表的な機能をご紹介していきます。
セキュリティ対策を施した入退館管理の実現
「はたLuck®︎」の「デジタル従業員証」を使うと、アプリ上で従業員証を即時発行でき、QRコードでの入退館ができるようになります。デジタル従業員証を利用することで、発行・管理の手間やコストを減らすことができます。また現物のカードを発行しないので、紛失リスクも少なくなります。
デジタル従業員証の利用方法は下記の通りです。
利用手順
- スタッフが自分の端末から従業員証の発行申請を行う
- 「はたLuck®︎」アプリ上でQRコードを発行する
- 施設入口の端末にかざして入退館手続きを行う
発行されたQRコードは、一定時間が経過するごとに更新されるので、何度も使うことはできません。
また、入退館ステータスに応じて、スタッフのアプリ利用に制限をかけることもできます。たとえば「入館中のステータスになっている間しかマニュアルを閲覧できない」といった設定も可能なので、セキュリティの向上にもつながります。
緊急時や福利厚生など必要な情報をすぐに共有可能
施設で働くすべてのスタッフに直接お知らせを配信できる「OPC情報配信」は、スムーズな情報共有を実現できる機能です。
急な営業時間の変更や災害情報など、緊急事態が発生した際にも全スタッフにスムーズに情報共有を行うことができます。また施設側の管理画面では、配信したお知らせの開封率を確認できます。
スタッフ研修をスマートフォン上で実現
アプリ上で研修をおこなえる「e研修」も、テナント管理の効率化に役立つ機能です。e研修機能を使うと、従来は集合型・対面式で行っていた研修を、スタッフのスマートフォン上で実施できるようになります。
アプリ上で研修用の画像やテキスト、動画などを配信でき、各スタッフが都合の良いタイミングで研修を受けられるようになるので、配布資料の準備や日程調整の手間も削減できます。また、マニュアルなど必要な情報に各スタッフが直接アクセスすることも可能です。
スタッフ限定で利用できるクーポンの発行
「はたLuck®︎」には、施設で働くスタッフのみが使えるクーポンを発行できる機能も備わっています。アプリを介してスタッフ全員にもれなくクーポンを届けられるので、スタッフのモチベーション向上にもつながります。
またクーポンは「入館中」のステータスになっているスタッフのみが利用できるようになっているので、閑散タイムにクーポンを発行してテナント店舗の売上向上に役立てることも可能です。
「はたLuck®︎」のテナント管理でのDX事例
この章では、実際に施設でのテナント管理に「はたLuck®︎」を活用している商業施設の事例を紹介します。
株式会社ダイドーフォワード
『アプリひとつでここまで解決できる!アナログな企業にこそ試してほしいSC運営の業務効率化』
神奈川県小田原市でエリア最大級のショッピングモール「ダイナシティ」を運営する、株式会社ダイドーフォワード。約2,000名に及ぶテナントスタッフの入退館管理や連絡業務を効率化し、よりテナントに寄り添った運営サポートを実現するため「はたLuck®」の導入を決定されました。
株式会社横浜岡田屋
『デジタルツールで業務効率化に成功。館を支えてくれるテナントさんの働きやすい環境づくりも実現』
横浜岡田屋は、神奈川県内で都市型ショッピングセンター「MORE’S(モアーズ)」を運営しています。少人数による、より効率的な施設運営を実現するために、デジタルツールの導入を検討されていました。他のツールもあるなかで「はたLuck®︎」を選んだ理由や導入経緯、その後の変化について聞いています。
「はたLuck®︎」を使い、テナント管理業務を改善しよう
「はたLuck®︎」には、テナント管理業務の効率化に役立つ機能がそろっています。さらに、シフト作成機能や私用SNS感覚で使えるトーク機能など、テナント店舗向けの機能も備わっているので、施設側・テナント側の双方にメリットがあります。
「従来のアナログなやり方では業務負担が大きい」「テナントとスムーズに連携が取れない」といった悩みを抱えている方はぜひ、ツールを活用したDX化を進めましょう。
詳細な機能や、施設の状況に合わせた効果的な導入方法などについては、「はたLuck®︎」のオンライン相談会でお気軽にご相談ください。
【商業施設・SC向け】はたLuckサービス概要資料、導入事例集
デジタル従業員証・入退館管理や、全従業員向けに一括配信が可能なお知らせ機能など、商業施設運営の業務効率化につながる機能をご用意しています。導入事例集も一緒にダウンロードが可能です。
店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。