日本における外国籍スタッフの数は、年々増加傾向にあります。企業の中には、外国籍スタッフが必要不可欠な労働力になっているケースもあるかもしれません。
しかし、外国籍スタッフには働くときに必要な資格や、日本人スタッフとは異なる労働時間の規定があります。こうした規定を守らないと、外国籍スタッフと、外国籍スタッフを雇う企業の双方に罰則が科せられるため、注意が必要です。
この記事では、外国籍スタッフが日本で働くときに必要な資格や、労働時間の規定など、シフト管理をするうえでの注意点を解説していきます。
目次
外国籍スタッフや留学生が日本で働くときに必要な資格
外国籍スタッフや留学生が日本で働くときには、「在留資格」や「資格外活動許可」といった承認が必要です。
外国人が日本に長期滞在する場合は、在留資格を持っていることがほとんどですが、在留資格の種類によっては就労が認められていないケースもあります。そのため、在留カードで在留資格の種類までを必ず確認するようにしましょう。
外国人が日本で働くには「在留資格」が必要
外国籍スタッフが日本で働くには、「在留資格」が必要です。在留資格とは、外国人が日本に長期間滞在する目的を示すための資格で、「外交」「特定技能」「教育」「高度専門職」「留学」などの29種類の資格があります。(2023年11月現在)
在留資格は、特定の目的のために滞在することを許可された場合にのみ発行されるものです。そのため、在留資格の種類によっては、就けない職種があったり、そもそも就労が認められていなかったりするケースもあります。外国籍スタッフを雇用するときには、在留資格の種類まで必ず確認するようにしましょう。在留資格別の活動資格は、出入国在留管理庁のHPに掲載されています。
なお、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つの在留資格は、居住を目的とした在留資格のため、日本で働いて生計を立てていかなければいけないという観点から、基本的にはどんな職業にも就くことができます。
留学生が日本で働くには「資格外活動許可」が必要
留学生が持っている在留資格は「留学」であり、学業が優先されるべきという考えから、原則として就労は許可されていません。ただし、家庭の事情で、日本でもアルバイトをしなければ生計が立てられないケースなどを踏まえて「資格外活動許可」の制度が設けられています。
資格外活動許可制度とは、日本で活動する外国人に対して、在留資格以外の活動を認める制度です。資格外活動許可制度を利用すると、留学生は週に28時間までの就労が許可されます。
なお、「留学」の在留資格以外でも、以下のようなケースでは資格外活動許可が認められます。
出典:出入国在留管理庁HP
- 「留学」の在留資格の方
- 「家族滞在」の在留資格の方
- 外国人の扶養を受ける配偶者若しくは子,又はそれに準ずる者として扶養を受ける者として行う日常的な活動を指定されて在留する方で,「特定活動」の在留資格の方
- 継続就職活動又は内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」の在留資格の方
- 「教育」,「技術・人文知識・国際業務」又は「技能(スポーツインストラクターにる)」のうち,地方公共団体等との雇用契約により活動する方
企業が留学生をアルバイトなどで雇用する際には、在留カードやパスポートなどで在留資格を必ず確認するようにしましょう。在留カードを確認する場合は、裏面の最下部にある「資格外活動許可欄」に「許可」と記載されているかどうかをチェックしてください。
日本人と外国籍スタッフに共通している労働時間や残業時間
外国籍スタッフも、日本人と同じように、労働基準法や36協定の対象となります。
以下では、労働時間や休日を定める労働基準法と、残業の規定について定めた36協定について解説していきます。
労働基準法による労働時間や休日
労働基準法とは、労働条件における最低基準を定めた法律です。具体的な項目としては、労働時間や時間外労働・休日労働、残業時間、賃金支払いの原則などが挙げられます。
労働基準法で定められた労働時間や休日に関する内容は、以下の通りです。
① 1週間のうち40時間を超えた労働の禁止
参考:労働基準法|e-Govポータル
② 1日あたり、休憩時間を除いて8時間以上の労働の禁止
③ 労働時間が6時間を超える場合には最低45分間、8時間を超える場合には最低1時間の休憩を与えなければならない
④ 最低でも週に1回以上の休日か、4週間のうちに4日以上の休日を与えなければならない
これらを遵守したシフトの組み方の例には、以下のようなものがあります。
1日8時間労働の場合 8時間×週5日=40時間
1日6.5時間労働の場合 6.5時間×週6日=39時間
ちなみに、労働時間が6時間を超えない場合には、休憩を取らせなくても違法ではありません。一方で、6時間以上労働させる場合、休憩時間は労働時間の間に取得させなければならず、労働時間が終了してから休憩時間を取得させることは、労働者の同意があっても違法です。
また、もしも上記の①~③が守れなかった場合には、時間外労働の規則である36協定に則って就労させる必要があります。
36協定による残業の有無
労働基準法では、1週間に40時間以内、1日に8時間以内という法定労働時間や休日について定めています。これらの法定労働時間を超えた時間外労働(残業)や休日労働をさせる場合には、「36協定」をあらかじめ締結し、労働基準監督署に届け出をしておかなければいけません。
36協定を締結する際には、時間外労働を行う業務の種類や、1カ月や1年あたりの時間外労働の上限を決めておく必要があります。厚生労働大臣の告示では、1カ月あたり45時間、1年間で360時間が、時間外労働や休日労働の「限度時間」として定められています。ただし、特別協定を締結すると、年間6カ月間までは限度時間を超えて労働させることも可能です。
時間外労働や休日労働が発生する可能性がある場合は、あらかじめ36協定を締結しておくと、スムーズです。36協定の申請方法やシフトの組み方に不安がある方は、都道府県労働局労働基準部監督課や労働基準監督署にご相談ください。
留学生が働く場合の労働時間
留学生が取得している在留資格の種類は「留学」で、学業のために日本での長期滞在を許可されているため、働くことができません。資格外活動許可を取得すると、日本で労働できるようになりますが、学業に支障がない範囲でなければならないとされています。
留学生を雇用する場合は、ほかの外国籍スタッフとは労働時間の上限が異なることに注意して、シフトを組むようにしましょう。
留学生の労働時間は1週間に28時間まで
留学生が資格外活動許可を取得した場合であっても、労働時間は1週間に28時間までと定められています。1週間で40時間までの労働が許可されている、ほかの外国籍スタッフよりも労働時間の上限が低いため、注意が必要です。
留学生が長期休暇中の場合は週40時間(1日8時間)まで
留学生の労働時間は、原則として1週間に28時間までとされていますが、長期休暇中は週40時間(1日8時間)まで労働させることができます。
これは長期休暇中であれば、長時間働いたとしても学業に支障が出にくいという観点に立った例外的な措置です。ただし、学校の休講が続いて、結果的に長期休暇が発生した場合には、この例外は適用されません。
定められた労働時間を超えた場合は違反となる
外国籍スタッフや留学生にはそれぞれ労働時間の上限が定められています。これを超えて労働させた場合には、労働した外国籍スタッフと留学生側、労働させた店舗側のどちらもが罰則を受けることになるため、注意が必要です。
外国籍スタッフが受ける罰則
外国籍スタッフが労働時間の上限を超えて労働した場合、入国管理局に「不法就労」と判断されるケースがあります。もしも不法就労と判断された場合は、強制送還されたり、在留資格の更新が認められなかったりと、遅かれ早かれ母国に帰らなければなりません。また、強制送還されると、5年間は日本に再入国できなくなります。
店舗が受ける罰則
店舗が労働時間の条件を超えて外国籍スタッフや留学生を労働させた場合、「不法就労助長罪」に問われ、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
この罰則が科せられるのは、外国籍スタッフや留学生を採用した責任者です。店舗で採用した場合は店長、企業で採用した場合は人事部の責任者などが対象となります。
また、労働時間の上限を超えた労働以外では、外国籍スタッフや留学生の採用時と退職時のハローワークへの報告にも注意が必要です。ハローワークへの報告を怠ったり、虚偽の申告をしたりすると、雇用対策法に抵触し、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
外国籍スタッフのシフト管理における注意点
店舗側が外国籍スタッフと留学生の労働に関する規定を守ろうとしていても、お互いの認識・コミュニケーション不足により、法律にうっかり違反してしまうケースもあります。
たとえ故意でなかったとしても、法律に違反した場合は罰則が科せられてしまいます。店舗が採用やシフト管理を行う際には、以下の点にも注意しましょう。
留学生が掛け持ち(ダブルワーク)をしている場合は合計で週28時間まで
留学生が資格外活動許可を取得した場合の労働時間の上限は、1週間に28時間までです。
この労働時間の上限は残業時間も含まれ、1週間のどの曜日から数えても、1週間で28時間以内に収める必要があります。
留学生がダブルワークをしている場合であっても、上記の条件は変わりません。そのため、留学生がアルバイトを掛け持ちしていないかどうかについては、採用時によく確認しておく必要があります。そのうえで、留学生がダブルワークをしている場合、店舗側はもう1つの職場の労働時間を確認しながらシフトを組みましょう。
また、ダブルワークを認めていない企業でダブルワークをしてしまうと、労働時間に問題がなくても、就業規則に抵触してしまいます。ダブルワークを認めていない企業の場合は、採用時に「この会社ではダブルワークは禁止です。ほかの企業でアルバイトをしないでください」と伝えてください。
外国籍スタッフ本人がルールを理解しているか確認する
外国籍スタッフや留学生の中には、労働時間の上限に関するルールを理解していない人もいます。本人に自覚がないままに法律に違反してしまった場合にも、労働者側と店舗側の両方に罰則が科せられるため、採用時に店舗側から改めてルールを説明し、労働者としっかりコミュニケーションを取っておくことが大切です。
資格外活動許可を受けていても働けない業種がある
留学生は資格外活動許可を受けていても、風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条第1項で定められた「風俗営業」に該当するアルバイトをすることができません。ティッシュ配りやキッチンや清掃といった間接的な業務であっても従事することができないため、注意してください。
風営法に該当する職種の例
参考:風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律(風営法)|e-Govポータル
パチンコ店、ゲームセンター、麻雀店、キャバレー、スナックなど。
外国籍スタッフのシフト管理をするなら「はたLuck®」がおすすめ
外国籍スタッフや留学生には、日本人スタッフとは異なる労働時間の上限が設定されているケースもあります。しかし、個々の事情を汲みながらシフト管理をしていくのは、企業や店舗にとって大きな負担になります。
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たとえば、外国籍スタッフの滞在資格が「留学」の場合、労働時間の上限が1週間に28時間までとなります。外国籍スタッフ向けに「1週間に28時間まで」というカスタムアラートを設定しておけば、シフトを入れすぎたときにアラートが発動し、法律違反を未然に防ぐことができます。
アプリからシフト希望の収集やシフトの共有ができる
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外国籍スタッフや留学生の中には、労働時間の上限が低いことから、シフトに頻繁に入れない人もいます。しかし、アプリ経由でシフトの提出・共有ができれば、希望シフトの提出や共有をするためだけにわざわざ店舗に出向くことがなくなり、シフト管理がよりスムーズにしやすくなります。
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店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。