
今実際に管理しているシフトが法律上問題ないか心配されている方は多いのではないでしょうか。また、法律上の問題をなるべく気にせず、本来の業務に集中したい方も多いはずです。
シフト作成で法律違反を防ぐには、労働条件や就業規則だけでなく、シフト変更時の同意や記録まで確認する必要があります。特に、アルバイト・パート比率が高い職場では、希望回収や変更対応が現場判断になりやすく、トラブルにつながりやすいでしょう。
この記事では、シフト作成において見逃してはいけない法律上のポイントや確認手順を解説します。本記事を読むことで、シフト作成で最も回避しないといけない法律上のトラブルを回避し、シフト作成者が本来の業務に集中できるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
シフト作成前に確認すべき法律上の前提

シフトを作成する前に、まず確認すべきなのは「その職場のシフト制が、法律上どのような働き方にあたるか」です。勤務日や労働時間を後からシフトで決める場合、以下のようなルールが重要になります。
- 労働日・労働時間がシフトで確定する働き方か確認する
- 労働条件通知書・就業規則にシフトの決め方を明記する
- 希望シフトと確定シフトの扱いを分ける
シフト制の種類や基本から整理したい場合は、以下の記事もあわせて確認してみてください。
関連記事:シフト制とは?自由・固定・完全シフトの違い、運用時の注意点を解説
労働日・労働時間がシフトで確定する働き方か確認する
最初に確認すべきなのは、自社の働き方が「契約時点では労働日や労働時間が確定しておらず、一定期間ごとに勤務シフトで確定する働き方」にあたるかどうかです。厚生労働省はシフト制労働者について、労働契約の締結時点では労働日や労働時間が確定せず、勤務シフトで初めて具体的に決まる働き方と定義しています。
固定勤務や交替制勤務と混同すると、明示すべき労働条件や変更時の扱いを誤る可能性があります。まずは、労働契約上の勤務日・勤務時間が固定されているのか、シフトで決まるのかを分けて確認しましょう。そのうえで、シフトで具体化する範囲を労働条件通知書や就業規則に反映することが重要です。
労働条件通知書・就業規則にシフトの決め方を明記する
シフト制で働いてもらう場合でも、始業・終業時刻、休日、賃金などの労働条件は明示する必要があります。勤務日や時間がシフトで決まる職場では、「シフトによる」と記載するだけでなく、シフトの作成方法や確定時期、変更の手順まで明記しておくことが重要です。
あらかじめルールを細かく定めておけば、店長や現場責任者ごとの判断差を減らし、労働者にも勤務の見通しを示しやすくなります。
希望シフトと確定シフトの扱いを分ける
希望シフトは、あくまで労働者が提出する勤務希望です。一方、確定シフトは、会社が勤務日や勤務時間を決めた後の労働日・労働時間として扱われます。この2つを分けずに運用すると、確定後の休みや時間変更を「調整」と考えてしまい、同意や休業手当の確認が漏れる可能性があります。
シフト確定後に勤務時間を調整する場合は、労働者の同意や会社都合かどうか、36協定の範囲内かどうかを確認しましょう。希望提出や確定、変更の各段階を分けて記録することで、後から経緯を確認しやすくなります。
雇用形態・勤務者属性ごとに注意するポイント

シフト作成では、スタッフの働き方や属性によって確認すべきポイントが変わります。特に、アルバイト・パート、留学生・外国籍スタッフ、年少者・深夜勤務者は、勤務時間や働ける時間帯に注意が必要です。
雇用形態・勤務者属性ごとに押さえておきたいポイントは、以下の3つです。
- アルバイト・パートの場合:労働条件と希望シフトのルールを事前に明確にする
- 留学生・外国籍スタッフの場合:在留資格と働ける時間の上限を確認する
- 年少者や深夜勤務者の場合:年齢や時間帯による勤務制限を確認する
アルバイト・パートは労働条件と希望提出ルールを明示する
アルバイト・パートでも、労働時間、休憩、休日、賃金などの基本ルールは適用されます。短時間勤務だからといって、労働条件やシフトの決め方を曖昧にしないようにしましょう。
希望シフト制では、希望を出す期限、最低勤務日数、休みたい日の伝え方、確定後に変更したい場合の流れを事前に決めておくことが大切です。
たとえば、週3日程度の勤務を想定していたスタッフに週1日しかシフトを入れない、希望していない時間帯に続けて入れる、一方的に勤務日を減らすと、勤務日数や収入への不満につながる可能性があります。
留学生・外国籍スタッフは在留資格と就労上限を確認する
留学生や外国籍スタッフをシフトに入れる場合は、在留資格と働ける時間を確認しましょう。資格外活動許可を受けて働く留学生には、原則として週28時間以内などの就労上限があります。
この上限は、1店舗だけでなく、本人が働いている勤務先全体で確認することが必要です。複数店舗でのヘルプ勤務や、繁忙期の追加シフトがある場合は、店舗ごとのシフト表だけでは上限を超えていることに気づけない可能性があります。スタッフごとに勤務時間を集計し、追加勤務を入れる前に確認できる状態にしておきましょう。
外国籍スタッフの就労時間や在留資格の確認方法を詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせて確認してください。
関連記事:外国籍スタッフのシフト管理の注意点!週28時間や40時間の制限とは
年少者や深夜勤務は制限対象を確認する
18歳未満のスタッフをシフトに入れる場合は、成人スタッフと同じように勤務時間を組まないよう注意が必要です。年少者には、深夜勤務や長時間勤務に関する制限があるため、年齢や働ける時間帯を事前に確認しましょう。
深夜勤務がある職場では、誰が深夜の時間帯に働けるのかをわかるようにしておくことも大切です。年齢や勤務制限を店長の記憶だけで管理していると、忙しい時期に誤ってシフトに入れてしまう可能性があります。スタッフ情報として管理し、シフト作成時に確認できるようにしておきましょう。
変形労働時間制を使う場合のシフト作成ルール

繁忙日と閑散日で勤務時間に差がある職場では、変形労働時間制を使うケースがあります。ただし、制度を使えば自由に長時間シフトを組めるわけではありません。事前に以下のルールを確認する必要があります。
- 1か月単位では期間内の労働時間総枠を確認する
- 就業規則または労使協定と届出を確認する
- 変更・振替の運用ルールを事前に決める
1か月単位では期間内の労働時間総枠を確認する
1か月単位の変形労働時間制では、1か月以内の一定期間を平均して、1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲に収まるようにしましょう。そのため、日ごとの勤務時間だけでなく、対象期間全体の労働時間総枠を確認しながらシフトを作成することが必要です。
また、変形労働時間制では、各日・各週の所定労働時間をあらかじめ特定することが求められます。繁忙日だけ長く働かせ、後から調整する運用では、制度の前提を満たさない可能性があります。対象期間や起算日、勤務日ごとの時間を事前に整理してからシフト表に反映するのがポイントです。
就業規則または労使協定と届出を確認する
変形労働時間制を使う場合は、就業規則または労使協定など、制度導入に必要な手続きが整っているかを確認しましょう。制度が導入されていないにもかかわらず、繁忙期だからという理由だけで長時間シフトを組むと、通常の法定労働時間を超える勤務として扱われる可能性があります。
特に、現場だけでシフトを作成している場合、制度の有無や労使協定の範囲を確認しないまま勤務時間を組んでしまうことがあります。シフト表を作る前に、人事・労務担当者が就業規則や労使協定、届出状況を確認し、使える制度の範囲を明確にしておくことが重要です。
変更・振替の運用ルールを事前に決める
変形労働時間制では、あらかじめ特定した勤務日や勤務時間を前提に労働時間を管理しましょう。確定後に勤務日や時間を気軽に変更すると、制度の前提が崩れ、労働時間管理上のリスクが生じる可能性があります。
欠員対応や繁忙対応、本人都合の変更など、変更理由ごとに承認者と記録方法を決めておくことが重要です。誰が、いつ、どの勤務を、どの理由で変更したのかを残すことで、後から法定労働時間や休憩、休日の確認ができます。変形労働時間制を使う職場ほど、シフト変更の履歴管理が重要です。
法律違反を防ぐシフト作成の実務手順

法律違反を防ぐには、シフトを作った後に見直すだけでは不十分です。作成前に以下のルールを確認し、作成中に勤務上限や休憩・休日をチェックし、確定後の変更履歴を残す流れを定着させる必要があります。
- 労働条件・就業規則・36協定を確認する
- スタッフ別の勤務上限をシフト表に反映する
- 作成時に労働時間・休憩・休日をチェックする
- 確定後の変更履歴と同意を残す
- 労務アラートで確認漏れを減らす
1. 労働条件・就業規則・36協定を確認する
シフト表を作る前には、労働条件通知書や就業規則、36協定、変形労働時間制の有無を確認しましょう。これらを確認しないまま現場判断で勤務時間を組むと、契約内容や社内ルール、法定労働時間の範囲から外れる可能性があります。
特に、時間外労働や休日労働が発生する職場では、36協定の締結・届出状況を確認することが欠かせません。店舗や部署ごとに判断するのではなく、人事・労務担当者と連携し、シフト作成で使える条件を明確にしてから勤務表に落とし込みます。
2. スタッフ別の勤務上限をシフト表に反映する
次に、スタッフごとの勤務上限をシフト表に反映します。確認すべき項目は、法定労働時間、契約上の勤務時間、学生や外国籍スタッフの就労上限、年少者の制限などです。全員に同じ上限を適用するのではなく、スタッフ属性ごとに確認しましょう。
複数店舗で働くスタッフやヘルプ勤務があるスタッフは、店舗単位ではなく本人単位で勤務時間を集計します。店舗ごとのシフトでは問題がなくても、合算すると上限を超える可能性があります。勤務上限をシフト作成画面や管理表で確認できるようにしておくことが重要です。
3. 作成時に労働時間・休憩・休日をチェックする
シフト作成時には、1日・1週間の労働時間や休憩時間、休日、連続勤務、時間外労働の有無を確認します。完成後にまとめて見直す運用では、修正に時間がかかり、見落としも起こりやすくなります。
チェック項目は、作成中に確認できる状態にすることが重要です。たとえば、労働時間が上限に近づいたスタッフや休憩が不足している勤務、休日が確保できていない勤務に気づける仕組みがあると、確定前に修正できます。法律違反の予防は、シフト作成の途中で確認する運用にすることが基本です。
4. 確定後の変更履歴と同意を残す
シフト確定後に変更する場合は、変更前後の勤務時間や変更理由、本人の同意、休業手当の検討有無を記録しましょう。確定シフトは勤務予定として扱われるため、会社都合で休みにする、早退させる、勤務時間を増やす場合には、ただの調整では済まないケースがあります。
口頭や個別チャットだけで変更すると、後から確認が必要になったときに経緯を示しにくくなります。誰が依頼し、誰が承認し、いつ確定したのかを残しておくことで、労働者との認識差を減らすことが可能です。変更履歴の管理は、トラブル予防にもつながります。
5. 労務アラートで確認漏れを減らす
Excelや紙のシフト表では、労働時間や休憩、休日、個別の勤務制限、変更履歴を手作業で確認する必要があります。スタッフ数や店舗数が増えるほど、確認漏れや集計ミスが起こりやすくなります。
労務アラートやスタッフ条件を反映できるツールを使えば、シフト作成段階で違反リスクに気づきやすくなります。はたLuckのシフト管理機能では、希望シフトの収集、シフト作成・周知、労務違反アラート、最適化シフト、ヘルプ募集などをデジタル化できます。現場の負担を減らしながら、確認漏れの少ない運用を目指せます。
法律違反になりやすいシフト作成のチェック項目

シフト作成で法律違反になりやすいのは、労働時間や休憩、休日、時間外・休日労働の確認漏れです。特に、忙しい店舗や人手不足の職場では、現場の必要性を優先してしまい、以下のような法定ルールの確認が後回しになることがあります。
- 1日8時間・週40時間を超えていないか
- 勤務時間に応じた休憩時間を入れているか
- 休日を週1日または4週4日確保しているか
- 時間外・休日労働に36協定と割増賃金の対応があるか
1日8時間・週40時間を超えていないか
労働基準法では、原則として1日8時間、週40時間を超えて労働させることはできません。シフト作成時には、1勤務ごとの時間だけでなく、週単位の合計時間も確認する必要があります。
複数店舗での勤務やヘルプ勤務がある場合は、店舗ごとのシフト表だけで判断しないことが重要です。ある店舗では週40時間以内でも、別店舗の勤務を合算すると超過する可能性があります。シフトは店舗単位ではなく、スタッフ単位で集計し、法定労働時間を超えていないか確認しましょう。
勤務時間に応じた休憩時間を入れているか
勤務時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与える必要があります。シフト表上で休憩時間を入れていても、実際に休憩を取れない運用になっている場合は問題につながる可能性があります。
特に、休憩を勤務終了直前にまとめる、ワンオペで売場を離れられない、忙しくて休憩が取れないといった運用には注意が必要です。シフト作成時には、勤務時間に応じた休憩枠を入れるだけでなく、その時間に実際に休める人員配置になっているかも確認しましょう。
休日を週1日または4週4日確保しているか
労働基準法では、毎週少なくとも1回の休日、または4週間を通じて4日以上の休日を与える必要があります。人手不足を理由に連続勤務が続く場合でも、法定休日の確保はシフト作成時に確認しなければなりません。
連続勤務が発生する場合は、法定休日を確保できているかに加えて、スタッフの健康面や定着面にも注意が必要です。休日の確認を月末や給与計算時に行うと、すでに勤務が終わっていて修正できないことがあります。シフト確定前に、週単位・4週単位で休日を確認する運用にするのがおすすめです。
時間外・休日労働に36協定と割増賃金の対応があるか
法定労働時間を超える時間外労働や休日労働をさせる場合は、36協定の締結・届出が必要です。シフト上で残業や休日出勤が見込まれる場合は、36協定の範囲内かどうかを確認したうえで勤務を組みます。
また、時間外労働や休日労働、深夜労働が発生する場合は、割増賃金の対応も必要です。シフト作成時に勤務時間だけを見ていると、給与計算時に割増賃金の確認が後回しになります。シフトの段階で、時間外・休日・深夜勤務の有無を把握できるようにしましょう。
休憩時間の法律ルールや勤務時間ごとの入れ方を詳しく確認したい場合は、以下の記事もあわせて確認してください。
関連記事:労働時間と休憩時間の正しい管理方法|法律・規定から効率的なシフト作成のポイント
シフト変更・シフトカットで違法になりやすいケース

シフト作成後の変更やシフトカットは、トラブルになりやすい領域です。確定後のシフトを会社都合で休みにする、早退させる、追加勤務を入れる場合は、以下の項目を確認する必要があります。
- 確定後に一方的に休みにする
- 会社都合で早退させる
- 追加勤務や時間変更を同意なく決める
- 直前通知や未確定のまま勤務させる
確定後に一方的に休みにする
確定した勤務日を会社都合で休みにする場合、ただのシフト調整ではなく、会社都合の休業として扱う必要が生じる可能性があります。売上が少ない、人員が余ったといった理由で一方的に休みにすると、休業手当の確認が必要になるかもしれません。
そのため、本人都合の欠勤、本人と合意した変更、会社都合の休みを分けて記録すると良いでしょう。どの理由で勤務がなくなったのかが曖昧なままだと、後から労働者との認識差が生じやすくなります。確定後の休みは、理由と同意の有無を残すことが重要です。
会社都合で早退させる
来客数が少ない、作業が早く終わったといった理由で、会社側が一方的に早退させる場合も注意が必要です。確定していた勤務時間を短くする扱いになるため、会社都合の休業や賃金補償の確認が必要になる可能性があります。
その場の業務量に合わせて「今日は上がってよい」と処理すると、労働者が予定していた勤務時間や収入とのずれが生じます。会社都合で勤務時間を短縮する場合のルールをあらかじめ定め、本人への説明と記録を残す運用にするのがおすすめです。
追加勤務や時間変更を同意なく決める
シフト確定後に勤務時間を増やす、別日に振り替える、休日出勤を入れる場合は、本人の同意を確認しましょう。さらに、勤務時間が法定労働時間を超える場合や休日労働になる場合は、36協定の範囲内かどうかも確認することが必要です。
人手不足を理由に、LINEや口頭だけで追加勤務を決めると、後から同意の有無を確認しにくくなります。変更依頼や本人の承諾、確定時刻を記録として残し、シフト表にも反映しましょう。追加勤務は、労働時間と同意の両方を確認してから確定します。
直前通知や未確定のまま勤務させる
シフトを何日前までに通知すべきかについて、すべての職場に一律の期限が定められているわけではありません。ただし、直前通知や未確定のまま勤務させる運用は、労働条件の明確性や生活予定の立てやすさの面でトラブルにつながる可能性があります。
希望提出期限やシフト確定日、変更期限、緊急時の連絡方法を就業規則や社内ルールに定めておくことが重要です。確定前の予定と確定シフトを分け、スタッフがいつ勤務を確認できるのかを明確にしましょう。直前変更が必要な場合も、理由と同意を記録します。
まとめ:シフト作成では法律ルールの事前確認と変更履歴の管理が重要
シフト作成で法律違反を防ぐうえで重要なのは、作成前にルールを確認し、作成中に労働時間や休憩をチェックし、確定後の変更履歴を残すことです。
現場では、次の3点に絞って確認しましょう。
- 作成前:労働条件・就業規則・36協定・勤務者ごとの制限を確認する
- 作成中:労働時間・休憩・休日・時間外労働をチェックする
- 確定後:変更理由・本人同意・変更履歴を残す
シフト作成をする際、本来の業務に集中するには、法律上の確認を個人の注意力だけに頼らない仕組みづくりが必要です。労働時間や休憩、休日、スタッフごとの勤務制限を毎回手作業で確認していると、人数が増えるほど見落としや修正の負担が大きくなります。
はたLuckでは、複雑なシフト管理でも柔軟に対応できる法律を遵守した安全性の高いシフト管理を実現します。法律違反の不安を減らし、なるべく現場運営に集中したい方は、お気軽にご相談ください。

店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。
