
シフト希望が紙やLINEでバラバラに届き、集計や転記に追われている店長や管理者は多くいます。
急な欠勤の穴埋めや、労働時間・休憩のチェックまで重なると、シフト作成のたびに時間が足りなくなるという店舗は少なくありません。
しかし、負担が積み重なる原因を整理し、業態に合わせた確認ポイントを押さえれば、シフト作成にかかる時間は減らせます。
本記事では、店舗のシフト管理で起こりやすい課題、業態別の注意点、効率化のポイント、導入事例について解説します。
目次
店舗のシフト管理で起こりやすい5つの課題

店舗のシフト管理では、希望シフトの回収や労働時間の確認など、さまざまな工程で負担が生じます。なかでも起こりやすい課題は、以下の5つです。
- 希望回収・集計に時間がかかる
- 繁閑やスキルに合わせた人員配置が難しい
- 急な欠勤・変更対応が店長の負担になる
- 労働時間・休憩・資格者配置の確認漏れが起きやすい
- 複数店舗では管理ルールがばらつきやすい
それぞれ順番に見ていきましょう。
希望回収・集計に時間がかかる
紙やLINE、口頭など、シフト希望の提出方法がスタッフごとに分かれていると、確認と集計に時間がかかります。
店長やシフト管理者は、複数の連絡手段を順に見て回らなければなりません。誰がいつ提出したか、まだ届いていない希望はないかを把握するだけでも手間がかかります。
シフト回収後も、表にまとめるために転記が必要です。手書きのメモやチャットの文章から日付と時間を書き写す工程は、件数が増えるほど見落としや入力ミスも起きやすくなります。
負担を抱えるのは、店長個人だけではありません。複数店舗を管理する本部にとっては、管理工数の増加に加え、店舗ごとに運用方法や管理水準がばらつく要因にもなります。
繁閑やスキルに合わせた人員配置が難しい
店舗のシフト管理は、人数をそろえるだけでは足りません。
時間帯ごとの来店数や繁忙期、スタッフの経験などを踏まえて組む必要があります。
確認項目は、業態によって異なります。例えば、飲食店ならホールとキッチン、スーパーならレジと品出しという具合です。
スタッフの頭数が足りていても、来店の多い時間帯に経験の浅いスタッフばかりが並ぶと、レジ待ちや提供の遅れという形で現場に影響が出かねません。
さらに、配置が実態に合っていなければ、人件費の無駄やサービス品質の低下につながる可能性があります。
急な欠勤・変更対応が店長の負担になる
急な欠勤やシフト変更は、店舗運営では避けられません。
代わりに入れるスタッフを探すたびに店長が個別に連絡していると、接客や売上管理、スタッフ育成といった本来の業務が後回しになります。
返信を待つ時間が発生するうえに、対応可能なスタッフが確定するまで、複数回の連絡が必要です。当日朝の欠勤であれば、開店準備を進めながら何人にも声を掛けなくてはなりません。
複数店舗を運営している場合は、近隣店舗へヘルプを依頼できる体制がないと、一店舗のなかだけで人員不足を埋める必要があります。
このような事態に備えて、変更申請の受け付け方や代替スタッフの探し方、ヘルプ依頼の流れをあらかじめ決めておくと、欠勤が発生した際の負担を抑えられます。
労働時間・休憩・資格者配置の確認漏れが起きやすい
シフト作成では、労働時間と休憩時間のチェックが欠かせません。
厚生労働省によると、労働時間は原則として1日8時間、週40時間が上限です。休憩は労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上を確保する必要があります。
業態によっては、資格者や職種別の配置も見ておかなければなりません。保育園では保育士、クリニックでは看護師や医療事務など、職種によって担当できる業務が異なります。
人数だけそろっていても、資格を持つスタッフが不在の時間帯があると、現場は回りません。
手作業だけで照らし合わせていると、スタッフ数が増えるほど見落としが生まれ、労務リスクや配置ミスにつながります。
個別の法令判断が必要な場合は、社労士など専門家へ確認すると安心です。
複数店舗では管理ルールがばらつきやすい
店舗ごとにシフト作成の方法が異なると、本部やエリアマネージャーが状況を把握しにくくなります。
希望提出期限、確定日、変更申請、ヘルプ依頼の進め方がそろっていないと、管理品質に差が出る可能性があります。
例えば、A店は希望シフトをLINEで集め、B店は紙で集めていると仮定しましょう。本部が全体の状況を確認するたびに、店舗ごとに確認先や確認方法を変える手間が生じます。
運用の多くを現場責任者の経験や判断に頼っている場合も、注意が必要です。担当者の異動や退職をきっかけに、運用そのものが崩れることがあります。
複数店舗を運営するなら、全店で使える共通ルールと、本部が状況をつかめる体制の両方を整えておきましょう。
業態別に見るシフト管理の注意点

シフト管理で確認すべき条件は、業態によって異なります。ここでは代表的な3つの業態を取り上げ、それぞれの注意点を整理します。
- 飲食店・スーパー・コールセンターなどの業界
- 保育園・クリニックなどの業界
- 製造業などの工程がある業界
順番に見ていきましょう。
飲食店・スーパー・コールセンターなどの業界
飲食店やスーパー、塾、コールセンターでは、時間帯や曜日、業務量に応じて必要な人員が変わります。
| 業態 | 人員を厚くするタイミング | 確認事項 |
| 飲食店 | ランチ・ディナー・週末 | ホール・キッチンなどの担当業務 |
| スーパー | 夕方・週末・特売日 | レジ・品出し・惣菜などの担当業務 |
| 塾 | 授業の時間帯や講座のコマ | 担当科目・指導できる学年 |
| コールセンター | 入電数が増える時間帯 | 対応可能な業務・スキル・経験 |
コールセンターでは、過去のコール数や時間帯別の着信傾向をもとに呼量を予測し、必要な配置人数を算出する方法もあります。
いずれの業態でも、必要な人数をそろえるだけでは、適切なシフトとはいえません。ホールやキッチン、レジ、講師などの役割に加え、スタッフごとに対応できる業務やスキルを踏まえて配置する必要があります。
繁閑の差が大きい業態では、曜日や時間帯ごとの必要人数と配置すべき役割をあらかじめ定めておくことで、シフト作成の効率化が可能です。
保育園・クリニックなどの業界
保育園やクリニックでは、時間帯ごとに必要な資格者や職種を確保したうえで、シフトを組む必要があります。
| 業態 | 必要となる主な職種 | 確認事項 |
| 保育園 | 保育士・調理員・看護師など | 配置基準、早番・遅番、園児数 |
| クリニック | 医師・看護師・医療事務など | 診療時間、担当業務、資格の有無 |
保育園やクリニックでは、スタッフによって資格や担当できる業務が異なります。また、早番や遅番、短時間勤務などが混在し、勤務条件が複雑になりやすいことも特徴です。
スタッフの希望だけをもとにシフトを組むと、全体の人数は足りていても、必要な資格者や職種を配置できない時間帯が生じる可能性があります。例えば、受付スタッフはそろっていても、診療に必要な看護師が不足しているという状態です。
そのため、希望シフトを回収する前に、時間帯ごとに必要な職種と人数を設定しておきましょう。
なお、必要な配置人数や資格要件は、業種や施設の条件によって異なります。個別の判断が必要な場合は、専門家や関係機関へ確認してください。
製造業などの工程がある業界
製造業では、各工程を担当できるスタッフのスキルに加え、交代制勤務や引き継ぎ、安全管理を踏まえてシフトを組む必要があります。
| 確認項目 | 内容 | 不足した場合の影響 |
| 工程ごとのスキル | 各工程を担当できるスタッフ | 生産ラインの停止や遅延 |
| 交代制勤務 | 夜勤・日勤の勤務時間や休息時間 | スタッフの負担増加 |
| 引き継ぎ | 作業状況や注意事項の共有 | 作業ミスや確認漏れ |
| 安全管理 | 有資格者や責任者の配置 | 事故や労働災害のリスク |
特定の工程を担当できるスタッフが不足すると、生産計画に影響する可能性があります。工程によっては、対応できるスタッフが限られている場合もあります。
また、交代制勤務では、作業状況や設備の異常、注意事項を次の担当者へ正確に引き継ぐことが必要です。情報共有が不十分な場合、作業ミスや安全確認の漏れにつながりかねません。
スタッフごとに対応できる工程や保有資格を一覧化しておくと、欠員が発生した際にも、必要なスキルを確認しながら配置を変更できます。生産への影響を抑えるためにも、工程ごとの必要人数と対応可能なスタッフを事前に整理しておきましょう。
店舗のシフト管理を効率化する4つのポイント

店舗のシフト管理を効率化する具体的な進め方を紹介します。
押さえておきたいのは、以下の4つです。
- 希望提出・確定・変更ルールを統一する
- 店舗ごとの人員状況を見える化する
- 店舗間のヘルプ調整を仕組み化する
- 労働時間・休憩・人件費を本部側でも確認できるようにする
それぞれ順番に見ていきましょう。
希望提出・確定・変更ルールを統一する
複数店舗を運営するなら、希望提出の期限、確定日、変更申請の進め方を全店でそろえることが効率化の起点になります。
店舗ごとの独自運用が続くと、本部やエリアマネージャーが人員の状況を追いきれません。
シフト管理の方法が統一されていると、店舗をまたいだ確認やヘルプ調整もそのまま進められます。シフト管理アプリを選ぶときは、希望提出から確定の共有まで扱えるかを見ておきましょう。
店長にとっては、スタッフへの催促や日程調整の手間が減ります。異動して担当店舗が変わっても、運用を覚え直す必要がありません。
店舗ごとの人員状況を見える化する
各店舗の人員不足や過剰配置、未確定シフトを一覧で見られる状態を整えましょう。
人員の偏りは、数字を並べて初めて気づくことがあります。店舗単位だけでなくエリア単位で見渡せると、人手が足りない店へ早めに手を打つことが可能です。
本部やエリアマネージャーが同じ情報を見られれば、現場任せの管理から抜け出せます。店舗ごとに異なる方法で管理している場合、全店舗の状況を把握するだけでも管理工数が増加します。
さらに、本部から急に聞かれても慌てずに答えられ、欠員についても早い段階で相談可能です。
店舗間のヘルプ調整を仕組み化する
欠員が出たときに、近隣店舗へヘルプ募集を出せる体制を整えておきましょう。
店長同士の個別連絡だけで調整していると、対応が長引くうえ、誰に声をかけられるかが担当者の人脈次第になってしまいます。
募集や応募、承認、確定までの流れを先に決めておくと、複数店舗のあいだで人員を融通しやすくなります。条件に合うスタッフへまとめて声をかけられれば、電話を入れる手間もなくなるでしょう。
ヘルプ要請の流れが決まっていれば、店長が欠員のたびに個人のつながりやLINEで頭を下げずに済みます。心理的な負担も軽くなり、スムーズな運営にもつながります。
労働時間・休憩・人件費を本部側でも確認できるようにする
労働時間や休憩、人件費は、現場だけでなく本部側でも見られるようにしておきましょう。
店舗ごとの判断に任せていると、労務のチェック基準や人件費の管理にばらつきが発生します。
人件費が膨らんでいる店舗や人員不足が続いている店舗を本部が早く把握できれば、改善の指示やフォローもすぐに出せます。現場の効率化だけでなく、経営管理の視点から仕組みを整えることが、複数店舗の運営では欠かせません。
数字を本部でも追える状態なら、店長は人件費超過の責任を一人で背負わずに済みます。
本部と一緒に管理しているという安心感にもつながるでしょう。
店舗におけるシフト管理の導入事例

シフト管理アプリ「はたLuck」を導入し、シフト作成の負担を減らした3社の取り組みを紹介します。
- アルバイト管理でシフト作成時間を従来の7割程度に短縮
- 105店舗で希望回収・転記・確定連絡をアプリ上で完結
- シフト提出を期限内完結・短時間シフト枠を拡大
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アルバイト管理でシフト作成時間を従来の7割程度に短縮
東京ドームの飲食・物販部門では、5つのエリアで400人以上のアルバイトを抱えていました。
以前は、全員の名前を書いた紙にシフトを手書きし、変更が入るたびに紙を書き直し、その都度共有する手間もかかっていたといいます。
はたLuck導入後は、シフトの作成と公開をアプリ上でまとめて進められるようになりました。紙に書き起こす工程がなくなり、変更内容も一斉に配信できます。
その結果、シフト作成にかかる時間は従来の7割程度に短縮できました。
東京ドームの導入事例では、紙での運用からアプリへ切り替えた経緯を紹介しています。
関連記事:東京ドームの事例|「シフト管理業務の負担を軽減し、スタッフもお客様も『たのしい!!』環境作りを実践」
105店舗で希望回収・転記・確定連絡をアプリ上で完結
株式会社ハブでは、105店舗でシフト管理や店舗内コミュニケーションの効率化に取り組みました。
スプレッドシートでシフトを組んでいたため、チャットツールに届く希望の確認や表への打ち込み、確定シフトの共有に時間を要していたことが課題でした。
長いときは、一連の作業に6時間ほど費やしていたといいます。
はたLuck導入後は、希望の提出から作成、確定連絡までをアプリ上で完結できるようになりました。打ち込み作業がなくなったことで、書き写しの間違いも起きにくくなっています。
株式会社ハブの導入事例では、105店舗の運用をアプリへ集約した経緯を紹介しています。
関連記事:株式会社ハブの事例|店舗運営のDXによる生産性向上で実感する、リアル店舗の価値
シフト提出を期限内完結・短時間シフト枠を拡大
高倉町珈琲では、シフト管理に加えて、情報共有や学習の機能も使っています。
店舗数が増えるにつれ、中途入社スタッフの前職のやり方が混在し、サービス基準や情報の伝わり方にばらつきが出ていたことが課題でした。
はたLuck導入後は、シフトの提出期限が守られるようになり、「朝の1時間だけ」といった短時間シフトの希望も出やすくなっています。
動画マニュアルを使った学習も広がり、スタッフが自ら質問する場面が増えました。
高倉町珈琲の導入事例では、シフト管理と情報共有をあわせて見直した経緯を紹介しています。
関連記事:高倉町珈琲の事例|店舗数の拡大に伴う、サービス品質の壁。情報共有で育むクルーの自主性と高倉町珈琲の品質。
シフト管理を店舗で行う際によくある質問

シフト管理の見直しを検討する場面で、よくある質問を3つ紹介します。
- 複数店舗のシフト管理で注意すべきことは何ですか?
- シフト管理アプリは飲食店や保育園でも使えますか?
- シフト管理システムの導入前に整理すべきことは何ですか?
気になるものから確認してみてください。
複数店舗のシフト管理で注意すべきことは何ですか?
複数店舗のシフト管理では、店舗ごとの運用のばらつきや人員状況の見える化、ヘルプ調整に注意が必要です。
本部やエリアマネージャーが各店の状況をつかめないと、人手不足や過剰配置への対応が遅れてしまいます。
例えば、以下の進め方を店舗間で統一しておくと、店舗が増えても管理の質を保てます。
- シフトの提出方法
- シフトの確定
- シフトの変更
- ヘルプ依頼
どの店にどんな運用の違いがあるかを洗い出すところから始めましょう。
シフト管理アプリは飲食店や保育園でも使えますか?
シフト管理アプリは、飲食店や保育園でも使用されています。
ただし、見るべき項目は業態ごとに変わります。飲食店ならピーク帯とポジション、保育園なら保育士の配置といった具合です。
シフト管理アプリを選ぶ際は、機能の多さよりも、自社に必要な条件を管理できるかを基準にしましょう。
シフト管理システムの導入前に整理すべきことは何ですか?
導入前には、今の管理方法、作業にかかっている時間、店舗数、スタッフ数、改善したい業務を書き出しておきましょう。
漠然と「負担が重い」と感じているだけでは、どの機能が要るかを絞り込めません。
以下のどこに時間を取られているかをはっきりさせると、製品ごとの比較もしやすくなります。
- シフト希望の回収
- 転記
- 変更対応
- ヘルプ調整
- 労務確認
勤怠管理や給与計算など、既存システムとの連携が要るかどうかも、あわせて整理しておきましょう。
まとめ

店舗のシフト管理は、シフト希望回収、人員配置、欠勤対応、労務確認の4つに分けて見直すと、負担を減らせます。工程ごとに負担の原因が異なり、必要な対策も変わるからです。希望回収ならフォームの統一、人員配置なら必要人数の事前設定というように、時間を取られている工程から手をつけられます。
ただし、手作業のままでは、店舗数やスタッフ数が増えたときに追いつかなくなるため、システムの活用もあわせて検討しておくと安心です。
まずは、次の4つのポイントから、着手しやすいものを選びましょう。
- 希望提出・確定・変更ルールを統一する
- 店舗ごとの人員状況を見える化する
- 店舗間のヘルプ調整を仕組み化する
- 労働時間・休憩・人件費を本部側でも確認できるようにする
さらに、業態に応じて確認しておきたいポイントもあります。
- 飲食店・スーパー・コールセンターなどはピーク帯に合わせた人員配置
- 保育園・クリニックなどは資格者・職種別の配置
- 製造業などは工程ごとの担当者と安全管理
本記事を参考に、自社の店舗数や業態に合わせて、運用ルールの見直しとシステム活用を検討してみてください。
はたLuckでは、各店舗ごとの特徴的な労務のルールや人員配置に沿って、最適な店舗運営を実現します。まずは無料で相談できるので、シフト管理の負担を減らしたい方は、ぜひ相談してみてください。

店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。
