近年、サービス業でDXが加速しています。ただ、なかにはどうやってDX化を進めればいいのか悩む企業や店舗も多いかもしれません。DXは単純にITシステムを利用して利便性を高めるだけでなく、業務が効率化されることで競争力を高めていくという目的があるため、いち早くDXを進めることが売上アップにもつながるのです。
この記事ではサービス業において、DXを導入するにあたってのメリットやデメリットから、導入する際のポイント、すでに導入している企業の事例までご紹介します。
目次
サービス業におけるDXとは
「デジタルトランスフォーメーション」の略語であるDX。デジタル技術を用いて業務フローを改善し、競争力を向上させていくことを言います。
経済産業省は「2025年の崖」のリスクを掲げており、DX化導入の課題を克服できなかった企業により、日本国内で年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性を指摘しています(「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」より)。
特にサービス業におけるDX化とは、店舗のレジ業務はもちろん、在庫管理や従業員のシフト管理などの店舗運営の効率化に加え、ECサイトへの出店など、新たなビジネス展開へ進めていくことが考えられます。
>IT化とDX化の違いについてはこちらで詳しく解説しています。
【徹底解説】IT化とDX化の違いとは?DXがいま重要視されている理由
サービス業におけるDXが求められる理由
人材の不足や仕入れ価格の高騰が常態化しているサービス業においても、DXは無縁ではありません。今までより、店舗の運営を効率化していくためにDXが不可欠と言えます。
新たなことに取り組むために、導入時は負担に感じるかもしれませんが、ルーティンに組み込まれていけば、数値で可視化され、客観的なデータに基づいた店舗運営を行えるようになります。
サービス業でDXを推進するメリット
サービス業においてもDXが重要視される5つの理由を見ていきましょう。
店舗運営の効率化
DXを進めることで店舗運営の効率化が期待できます。
例えば、大型店舗では従業員の位置情報を取得できるツールを導入すれば、「各スタッフがどの時間帯にどんな作業を行っているのか」または「どの作業にどれだけの時間がかかるのか」といった情報をデータで取得できるため、逐一確認しなくても把握できるようになります。また、シフト作成アプリを導入すれば、時間帯や場所を問わずにシフトの作成や変更、情報共有が可能です。今までシフト作成にかかっていた時間を他の業務に充てられるようになるため、生産性向上につなげることができるのです。
人員不足を補える
レジ業務ではセルフレジが導入できれば、各レジにスタッフを配置する必要がなくなるため、人員不足を補うことができます。
また、例えば、複数店舗のシフトを一度に確認できるシフト管理アプリを導入すれば、店舗間での欠員状況も簡単にわかります。ツールによっては店舗間での人員の融通の連絡もアプリで簡単にできる機能も搭載されているので、人員不足を補うこともできます。
コスト削減・売上アップ
予約管理システムや在庫管理ツールを導入すると、手動で行う煩雑な作業の自動化が可能です。その結果、効率的に予約管理や在庫管理ができるようになり、人的ミスを防げるだけでなく、人材の採用コストの削減にもつながります。
また、例えば、SVなどが、システムやツールを通じて取得したデータを、店舗の外からでも参照・活用できるようになることで、店舗間の移動時間や移動にかかる経費も削減できます。[jm4]
さらに顧客の行動データを収集・分析できるDXアプリを導入すると、キャンペーンの案内やクーポン配布をスマホへの配信等で行うといった施策を検討しやすくなります。顧客にとって魅力的な施策となり、有効な来店動機となるでしょう。
競争力の強化
例えば、セルフレジを導入すると、レジ業務担当者が減るだけでなく、顧客がレジを待つ時間を減らすことが可能です。レジ行列が長いので他店舗へ流れていた顧客を呼び戻せる可能性も高まります。
また、実店舗とECサイトとサービス統合を行えば、実店舗にない商品をオンラインで注文できるように案内できたり、近くに店舗がない顧客をECサイトへ誘導したりできるようになるので、他社に顧客が流れにくくなるでしょう。
データに基づいた意思決定ができる
在庫データや売上データの蓄積と適切な分析を進めることで、客観的かつ無駄のない販売戦略を検討することが可能になるでしょう。また、各種効率化のための施策が有効であったかどうかを数字で見ることで、人材採用や経費削減などをより効果的に行うこともできます。
サービス業でDXを導入する際におさえておくべきポイント
新たなビジネス展開へも広がっていく可能性を持つDX。ここからは成功させるためのポイントを解説していきます。
目的の明確化
現在抱えているどの課題をDXによってどう解決したいのか、明確な目的を設定することで、社内での理解が進み、新たな流れであるDXが導入しやすくなります。
反対に、目的を明確化できないままDXを進めてしまうと、オーバースペックのデバイスやツールを導入してしまったり、使い勝手の悪いものを導入してしまったり、社内の関心の薄さが露呈したりする可能性もあり、途中で頓挫する恐れもあるため、要注意です。
ツール導入の計画・スケジュールの明確化
サービス業のDXには既に多数のツールやシステムが提供されています。それぞれ、機能や費用、使いやすさが異なるので、自社の課題を解決できるものを選定することが欠かせません。
いつまでに選定するのか、どの部分に導入するのか、テスト導入をどの店舗で行うのかなどをはっきりさせるようにしましょう。
導入・運用コストの負担の検討
予算に見合うシステムやツール、デバイスを選ぶことはもちろん、運用するにあたり、スタッフがどの程度関わる必要があるかの見積もりを立てる必要があります。スタッフに多くの負担を強いるシステムやツールを導入してしまうと、かえってDXを進めるメリットが無くなってしまう可能性もあるので注意しましょう。
従業員の理解やサポート体制の整備
現場で働く従業員にDXを推進しなければならない理由やメリットについて説明する必要があります。予算やヒトを投入して確実に行いましょう。
具体的なシステムやツールを導入する際は、使い方を理解できるようにフォローすることが欠かせません。特に、スマホやタブレットなどを使い慣れていないスタッフには、丁寧にサポートすることを心がけましょう。
セキュリティ面への配慮
例えば、顧客管理アプリを使用する場合、顧客の個人情報にアクセスできるスタッフやデバイスの制限が必要です。また、使用するデバイスの紛失や盗難に対する対策や、ウイルス・外部からのサーバー攻撃に対する対策も検討しておくことが欠かせません。
また、スタッフとメッセージアプリなどでやりとりする場合、そこで共有した画像やファイル、動画などがスタッフの私用端末にダウンロードできない設定を搭載したアプリを使用することで、情報漏洩の心配が少なくなります。さらに、スタッフが退職した場合は退職者が重要な情報にアクセスできないように、すぐにアカウントを削除できるなど自社でアカウント管理ができるツールを選ぶのもひとつの手です。
DX人材の確保や育成
サービス業でDXを導入する場合は、店舗の業務フローを理解して課題を抽出し、ツールが選定できる人材をアサインすることが重要です。単純にITスキルに詳しいというだけでなく、デジタル技術に精通し、導入やデータ分析を行える人材が必要です。研修プログラムを導入し、社内の人材を育成したり、外部からDX人材を登用したりするとよいでしょう。
サービス業でDXを導入する際に必要なもの
ここからは実際にサービス業においてDXを導入する際に必要なものを見ていきましょう。
通信環境の整備
DXにおいて、多くのシステムやツールはインターネット通信を介して利用することが前提となっています。そのため、通信環境を整備することは必須です。また、通信速度や安全性に不安があると業務に支障をきたす可能性があるので、安定した安全性の高い通信環境を選ぶようにしましょう。
デバイスの導入
DXを導入するには、パソコンやタブレットなど最適なデバイスを導入することも欠かせません。
デバイスによって、必要なコストや備わっている機能、利便性が異なります。例えば、現場で簡単に利用したいのであれば使いやすいスマホやタブレットがよいでしょう。しかし、データを集約して分析に専用のソフトを使いたいといった場合では、処理速度の速いパソコンを使った方がいい場合もあります。業務プロセスや組織の課題を分析し、自社の状況に合うツールを選びましょう。
必要なツールの導入
DXツールならなんでもいいというわけではありません。自社の課題に応じたツールを選定する必要があります。サービス業において利用しやすい主なツールを見ていきましょう。
顧客管理・マーケティングツール
顧客に登録してもらい、購買の記録やポイント付与、セールのお知らせやクーポンの発行ができるツールです。管理のしやすさだけでなく、顧客目線での使いやすさも選定のポイントになります。
顧客対応ツール
カスタマーサポートとも呼ばれるようなお問い合わせ窓口になるツールです。昨今ではECサイトにAIを利用したチャットボットの導入も増えつつあります。
決済・会計ツール
サービス業においては顧客との結節点となる決済や会計の負担を軽減するためのツールです。フルセルフレジから、支払いのみを会計機で行うパターンまで幅広いツールがあります。
労務管理ツール
勤退管理や給与計算、社会保険料の計算など、労務に関わる業務を行うツールです。給与計算のミスや漏れが少なくなり、その確認作業の手間も削減できるため、業務効率がアップします。
シフト作成・管理ツール
管理者の手間が膨大になるシフトを作成・管理できるツールです。スタッフも出社せずに、スマホからシフト希望を入れたり、決定したシフトを確認したりできるので、その効果を感じやすいツールになります。
コミュニケーション・連絡ツール
業務上に必要な引継ぎや申し送りを連絡できるツールです。プライベートなトークアプリの利用を止めることは、セキュリティを高めることにつながります。また、スタッフへの伝達漏れも防ぐことができます。
エンゲージメント測定ツール
従業員が自社の理念やマインドを理解しているか、そして満足しているか、さらには組織への貢献意欲があるか、などといったエンゲージメントを測定するツールです。さまざまなツールがありますが、多くのスタッフから回答を得るには、回答の負担が少ないツールがおすすめです。
サービス業のDXを推進させるなら「はたLuck」
サービス業のDXを推進させるには、はたLuck がおすすめです。 はたLuck には、以下のような便利な機能が備わっています。
シフト申請・調整・確定・共有がワンストップ
管理者の頭を悩ませるのが店舗スタッフのシフト調整です。また、スタッフも出社しないとシフト希望が出せない、確定シフトを閲覧できないなどの負担があります。
しかし、はたLuckなら、スタッフが自分のスマホから、希望シフトの申請ができ、確定したシフトの閲覧が可能です。管理者も希望の取りまとめやシフトの作成、共有にかかる手間を減らすことができます。
「連絡ノート」機能やトーク機能で情報共有しやすい
はたLuckには、全体への申し送り事項を掲載できる「連絡ノート」機能や、個別に連絡ができる「トーク機能」があります。事務所で1つのノートを閲覧するための待ち時間が発生するのを防ぐことができるだけでなく、出勤頻度の低いスタッフへも情報共有を行うことも可能です。
また、トーク機能では、同じ部署やチーム内など、特定のメンバーのみでトークルームを作ることもできるため、店舗内のコミュニケーションを活性化するというメリットもあります。
利用データを元に店舗運営を改善
はたLuckに蓄積された店舗ごとのデータを数値化・分析し、店舗の状況を定量的に見ていくことも可能です。良好な取り組みを行っている店舗の運営方法を目的未達成な店舗へと横展開していけます。
従業員エンゲージメント向上につながる機能も搭載
スタッフ間で発生する感謝や応援、激励といった気持ちを「星」として送ることで円滑なコミュニケーションが取れ、相互理解やチームワークの醸成につなげることが可能です。コミュニケーションが活発になると、従業員の帰属意識が高まり、従業員エンゲージメントの向上も期待できます。
はたLuckでサービス業のDXを推進している事例
ここからは、はたLuckを活用してDXを推進している店舗DX事例を紹介します。導入後のイメージをつかむために、はたLuckを利用している企業の事例を見てみましょう。
株式会社ハブ
英国風PUB「HUB」、「82」などを運営する株式会社ハブ様。英国PUB文化を日本において広く普及させるため英国風PUBを通じた「感動文化創造事業」を経営理念に掲げ、全国に103店舗展開しています。
ストアマネジャー(店長)の業務であるシフト作成について作成方法が店舗により異なり、本部側の提示する人時売上高が守れるシフトが組めているのか確認できないという課題がありました。
ストアマネジャーの工数を削減しつつ予測売上高に対し適正なシフトを作成したい、その上でその仕組みを全店規模で統一したいという考えからはたLuckのテスト導入を実施。その結果、8割以上のクルーが希望シフトの提出しやすさを実感、シフト作成の効率化、各店舗の人時売上高や過不足を把握できたため、2023年9月より全店導入に至っています。
株式会社東京ドーム
東京ドームシティなどの施設運営を手がける株式会社東京ドーム様。日本有数の大規模なイベント会場を支えるショップを運営する部門では、実際に顧客接点を担う400人以上のシフトワーカー(アルバイト・パートスタッフ)が登録されています。イベント開催時のみ、実際に稼働する150名程度のスタッフを募って営業するため、シフトの管理や情報共有が大きな負担となっていました。現在は、はたLuckのシフト機能やお知らせ機能を活用して、情報共有が行われています。
株式会社宣翔物産
株式会社宣翔物産様は、福岡市内でパチンコ店「プラザ」やビジネスホテル「ホテルクリオコート博多」を運営しています。正社員だけでなく、パートやアルバイトを含めた全てのスタッフに対して情報共有の浸透を高めることで、店舗運営力を向上させたいという思いから、はたLuckを導入されました。
店舗内コミュニケーションを可視化させ、業務情報はもちろん、新規入社者の紹介などを行うことでコミュニケーションを促進し、楽しく働ける店舗づくりを進められています。
株式会社ピエトロ
「しあわせ、つながる」をVisionに掲げ、ドレッシングやパスタソースの製造販売、レストランの運営を行っている株式会社ピエトロ様。レストラン運営におけるコミュニケーションの負担軽減と情報共有にあたってのセキュリティリスク回避を目的に、はたLuckを導入されました。
スタッフが個人のIT機器やネットワークを利用してしまうシャドーITを防ぎながら、従業員エンゲージメントの向上に役立てています。
業務効率化や売上アップのためにサービス業のDXを推進しよう
サービス業において業務効率化や売上アップをはかるためには、DXが不可欠です。デジタルツールを導入して、効果的に活用していけば、管理者の負担を軽減し、店舗運営業務を効率化させることで、人材不足の解消や競争力向上にもつながり、売上アップへとつなげることができます。
はたLuckは、レストランやレジャー・アミューズメント施設など、スタッフの入れ替わりの多いサービス業の現場でも活用されています。サービス業でDX推進をはかるなら、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
はたLuckサービス概要資料、導入事例集
店舗サービス業向け、商業施設向け、それぞれのサービス概要資料をご用意しています。導入事例集も一緒にダウンロードが可能です。
店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。