社内DXとは、単なる業務のデジタル化ではなく、働き方や組織全体を変革する取り組みを指します。デジタル技術の進化に伴い、社内業務の効率化や生産性向上を目指す企業が増えています。しかし、何から始めればよいか分からないと感じている企業も多いのが現状です。
本記事では、社内DXの基本から導入手順、事例までを解説します。自社にDXを導入する際に、ぜひ参考にしてください。

目次
社内DXとは?
社内DXとは、企業がデジタル技術を活用して、内部の業務フローや組織体制を変革する取り組みです。たとえば紙の資料や口頭での指示が中心だった職場に、クラウドシステムやコミュニケーションツールを導入し、リアルタイムで情報を共有する流れを構築するなどの内容を指します。
DXの定義
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを根本的に変革する取り組みを指します。単なるシステム導入やデータのデジタル化ではなく、新しい価値の創出や競争力の強化を目指すものです。
なぜ今、社内DXが必要なのか?
社内DXが必要とされている主な理由を見ていきましょう。
グローバル競争の中でのデジタル化の重要性
現代のビジネス環境では、デジタル化が進む世界市場で競争力を維持することが求められています。
グローバル企業は次々と新しいテクノロジーを活用し、顧客ニーズに対応できる体制を整えています。一方で、デジタル対応が遅れている企業は市場の変化に対応できず、競争力を失うリスクがあります。
効率化・生産性向上・コスト削減のメリット
DXは業務の効率化や生産性向上、コスト削減につながります。たとえば、従来の紙ベースでの申請をデジタル化すれば、書類提出や承認にかかる時間の節約ができます。また、AIを活用することで、単純作業の自動化が可能になり、社員はより付加価値の高い業務に専念できるようになります。
コロナ禍で加速したデジタル化の影響
コロナ禍を機に、リモートワークやオンライン会議などのデジタル化が急速に進みました。多くの企業が従来の働き方を見直すきっかけとなり、DX推進の必要性が浮き彫りになった出来事です。社内SNSやタスク管理ツールを導入する企業も増えています。
社内DXのメリット
社内DXを導入する具体的なメリットは、主に以下の4つです。
- 業務効率化
- 生産性向上
- コスト削減
- 従業員満足度・従業員エンゲージメント向上
業務効率化
社内DXは、従来の非効率な業務プロセスを見直し、効率化する効果があります。例えば、データ入力やレポート作成といったルーチン業務を自動化することが可能です。
生産性向上
デジタルツールを導入することによって、生産性の向上が見込めます。リアルタイムでデータを共有し、社内で迅速に意思決定をする環境を整えることも可能です。
コスト削減
社内DXの導入は、コスト削減にも直結します。ペーパーレス化を推進することで、印刷や保管にかかる経費を削減できます。また、会議をオンライン化すると、移動費などの経費も節約可能です。
従業員満足度・従業員エンゲージメント向上
社内DXの取り組みは、従業員の満足度やエンゲージメントの向上にも寄与します。社内コミュニケーションツールを導入することで、部署を超えた連携がスムーズになり、従業員間の交流が活性化します。また、従業員のリモートワーク環境を整えると、ワークライフバランスが向上し、従業員のモチベーションを高めることにつながります。
社内DXのデメリット
続いて、社内DXの3つのデメリットを見ていきましょう。
- 導入コスト
- 従業員の抵抗感
- セキュリティリスク
導入コスト
社内DXの推進には、初期投資として一定のコストがかかる点がデメリットです。システム導入の基本料金に加え、既存システムとの統合やカスタマイズの費用も必要になる場合があります。
ただし、長期的に見れば、効率化や生産性向上を通じてリターンを得られる可能性が高いといえるでしょう。
従業員の抵抗感
新しいシステムの導入には、従業員の抵抗感がつきものです。従来のやり方に慣れている従業員にとっては、学習コストや操作への不安が心理的な負担となる場合があります。事前の説明会やトレーニングを実施し、社内DXのメリットを伝えることが重要です。
セキュリティリスク
社内DXの推進に伴い、セキュリティリスクが大きくなる可能性があります。クラウドサービスの利用や社外からのリモートアクセスが増えることで、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まります。最新のセキュリティソフトの導入や、定期的なセキュリティ診断によって対策を行いましょう。
社内DXを成功させるために欠かせない3つの要素
社内DXを成功させるためには、次の3つの要素が欠かせません。
- 経営層のリーダーシップ・コミットメント
- 社員のスキル・リテラシー向上
- 適切なツールとテクノロジー
経営層のリーダーシップ・コミットメント
社内DXを成功させるには、経営層のリーダーシップと強いコミットメントが必要不可欠です。経営層がDX推進に対するビジョンを示し、全社的な取り組みを牽引することで、現場の理解を得やすくなります。例えば、定期的にDX推進に関するミーティングを開催し、進捗状況や課題を共有しましょう。
社員のスキル・リテラシー向上
新しいツールやシステムを効果的に活用するためには、従業員がその機能を理解し、日常業務に使える能力を身につける必要があります。定期的な社内研修やオンライン学習プログラムを提供し、従業員が知識を習得できる環境を整備することが有効です。
適切なツールとテクノロジー
DXを成功させるには、目的に合った適切なツールやテクノロジーを選択することが重要です。例えば、社内コミュニケーションの円滑化を目指す場合はチャットツール、業務プロセスの効率化を推進する際には、シフト管理システムの導入が効果的です。
社内DXを進める手順
社内DXを導入する際は、以下の5つのステップで進めていきましょう。
- ステップ1: 現状分析と目標設定
- ステップ2: DX推進のための組織づくり
- ステップ3: ツールとシステムの選定
- ステップ4: 実行とモニタリング
- ステップ5: 継続的改善と最適化
ステップ1: 現状分析と目標設定
まずは自社の抱える課題を把握し、DXを通じて得たいゴールを定めましょう。DXのツールやシステムは多岐にわたるため、目標が曖昧なままでは適切な施策を講じることができません。
例えば、情報共有に時間がかかっているのか、人事管理の効率が悪いのかなどを洗い出し、改善すべき優先度を整理します。
ステップ2: DX推進のための組織づくり
社内DXを進めるには、プロジェクトを進めるためのチームを設置することが望ましいです。通常業務と並行すると、検討や調整が後回しになりやすく、予定どおりに進行しないケースがあるためです。
DX化のためのリーダーを配置し、各部門と連携を取りながら実務を担う体制を整える企業が増えています。
ステップ3: ツールとシステムの選定
ツールやシステムを選定する際は、自社の状況や業務内容に合うものを選びましょう。既存のシステムと連携しづらかったり、社内文化と合わなかったりするものは、導入後に使いこなせないリスクがあります。
ステップ4: 実行とモニタリング
新しいシステム導入の際は、想定外のエラーや操作ミスが起きるものです。導入するだけで終わらせず、モニタリングを行うことが、社内DXを成功させるために大切です。
ステップ5: 継続的改善と最適化
社内DXを導入した後も、継続的に最適化を図ることが重要です。デジタル技術の進歩は速く、導入時に最善だったものが1年後には古くなっている可能性さえあります。最新の技術を取り入れられるかどうかで効率が大きく変わるでしょう。
現場からのフィードバックやデータ分析の結果を踏まえ、必要に応じて業務プロセスの再設計や、新しいツールの導入を検討しましょう。

社内DXの具体的な施策例
ここからは、社内DXの具体的な施策例を以下の部門別に紹介します。
- 営業部門
- マーケティング部門
- 販売部門
- 人事部門
- 経理部門
- 総務部門
営業部門
営業部門の施策例は、次の2つです。
CRM/SFA導入
CRMやSFAの導入は、営業部門にとって有効です。顧客とのやり取りや案件情報を一元管理することで、営業活動の可視化と効率化が進みます。これまで個人が抱えていた連絡履歴や商談メモを共有化することで、社内での情報伝達がスムーズになり、担当者が変わった場合にも案件が止まるリスクを下げられます。
オンライン商談システム導入
オンライン商談システムにより、営業部門の働き方は大きく変わります。Web会議ツールやクラウドベースのプレゼン資料共有によって、場所を問わず打ち合わせすることが可能です。
従来の対面商談にかかっていた移動時間や交通費を削減できるだけでなく、遠方や海外の顧客に対しても迅速に提案できるメリットがあります。
マーケティング部門
次に、マーケティング部門の2つの施策例を紹介します。
MAツール導入
MAツールの導入は、リード育成などのマーケティングの効果を高めるために有効です。従来は手作業で配信していたメールやSNS投稿を自動化することで、ターゲットに合わせたタイミングで送ったり、一人ひとりの顧客に合った情報を届けることも可能です。
データ分析による顧客ターゲティング
データ分析はマーケティング部門において重要です。DXを活用して顧客の購買履歴やWebサイトの閲覧行動、SNSでの反応などを分析できます。それにより、顧客の嗜好や行動パターンを把握しやすくなります。
販売部門
販売部門の施策例は、次の5つです。
顧客データ分析
DXを活用して顧客データを収集・分析することで、顧客のニーズや傾向を深く理解し、効果的な戦略を立てることができます。次の購買行動を予測し、顧客が求める商品・サービスを最適なタイミングで提案できるでしょう。
在庫管理システムの導入
在庫管理システムを導入すると、リアルタイムで在庫状況を把握し、適切な発注タイミングや数量を自動的に判断することができます。過剰在庫や欠品を防ぎ、在庫コストの削減と機会損失の最小化を同時に実現できます。
モバイルPOSの導入
タブレットやスマートフォンを活用したモバイルPOSシステムにより、店舗内のどこでも決済処理が可能になります。レジの待ち時間の短縮や接客サービスの向上につながります。
キャッシュレス決済
クレジットカード、電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済を導入することで、顧客の利便性が大幅に向上します。決済時間の短縮や現金管理の手間の削減ができ、業務の効率化を実現できます。
セルフレジの導入
顧客自身が商品のスキャンや支払いを行うセルフレジを設置することで、レジの待ち時間の短縮と人件費の削減ができます。特に混雑時や少額決済の際に威力を発揮し、顧客満足度の向上につながります。
人事部門
続いて、人事部門の4つの施策例を見ていきましょう。
人材管理システムの導入
人材管理システムの導入によって、従業員の基本情報、スキル、評価履歴などのデータを一元管理し、効率的な人材活用ができるようになります。導入にあたっては、従業員のプライバシー保護にも配慮が必要です。
オンライン研修システムの導入
オンライン研修システムは、時間や場所の制約を受けずに学習できるため、従業員のスキルアップを促進します。研修の進捗状況を把握でき、個々の従業員に適した学習の進め方ができます。
シフト管理システムの導入
シフト管理システムを導入すると、人員配置の最適化や労働時間の適切な管理が可能になります。また、従業員自身がスマートフォンなどでシフトを申請・確認できるため、利便性が向上し、シフト管理者の負担も軽減されます。
従業員エンゲージメントツールの導入
サーベイなどの従業員エンゲージメントツールによって、従業員の声をリアルタイムで集めることができます。収集したデータを分析することで、離職リスクの予測や組織課題の特定などが行えます。
経理部門
経理部門の施策例は、次の2つです。
会計システムの導入
クラウド型の会計システムを導入することで、リアルタイムで財務データの更新や共有が可能になります。経理担当者の作業時間が削減されるだけでなく、経営者も最新の財務状況をいつでも確認できるようになります。
経費精算システムの導入
紙ベースやエクセルによる経費精算をデジタル化することで、手軽に申請できるようになり、承認遅れのリスクも軽減されました。さらに、経費データの可視化や分析が容易になり、不正使用の防止や経費削減の戦略立案にも役立ちます。
総務部門
総務部門の施策例としては、以下の3つが挙げられます。
ペーパーレス化
紙文書をデジタル化し、クラウド上で管理することで、業務効率の向上とコスト削減を実現できます。契約書や社内文書などの電子化、電子印鑑の導入などが挙げられます。ペーパーレス化により、文書の検索や共有も容易になります。
ワークフローシステムの導入
ワークフローシステムを導入し、稟議書や休暇申請などの業務をシステム化することで、承認にかかる期間の短縮や進捗状況の可視化が可能になります。さらに、クラウド型のワークフローシステムを導入することで、リモートワーク環境下でも円滑な業務遂行が可能になります。
コミュニケーションツールの導入
チャットツールやビデオ会議システムを活用することで、社内外のコミュニケーションが活発になり、情報共有の効率を高めることができます。例えば、各種チャットツールを導入することで、リアルタイムでの情報交換や、ファイル共有が容易になります。
社内DXを推進するための課題と対策
社内DXを推進する際には、以下3つの課題もあります。対策とあわせて見ていきましょう。
- 課題1: 組織文化の変革
- 課題2: コストと予算管理
- 課題3: 既存システムとの統合
課題1: 組織文化の変革
多くの企業では、長年培ってきた業務プロセスや慣習が根付いており、新しいデジタル技術の導入に対して抵抗感を示す従業員が一定数います。
対策としては、社内教育の実施が挙げられます。また、従業員の声を聞き、懸念点や不安を解消することも重要です。
課題2: コストと予算管理
社内DXを推進する上で避けて通れないのが、コストの問題です。特に中小企業では、限られた予算の中でDXを進めていくことが課題となっています。
対策としては、目指す成果や目標を明確にし、必要な機能を洗い出すことが重要です。不要なオプションなどを外してシンプルにすることで、予算を抑えられます。
課題3: 既存システムとの統合
社内DXを導入する際に直面する課題のひとつが、長年使用してきた既存システムとの統合です。この問題に対処するためには、まず既存システムの分析から始めましょう。
その上で段階的に移行してリスクを抑えたり、APIを活用して新旧システムを連携したりすることが対策のひとつとなります。場合によっては、既存システムの完全な刷新も検討すべきでしょう。
社内DXの一助となる「はたLuck」
社内DXを導入するなら「はたLuck」がおすすめです。
はたLuckは、シフト管理や情報共有、マニュアルのデジタル化など、社内DXで役立つ機能をひとつのアプリに集約しています。ここでは、それぞれの機能を紹介します。
シフト管理の効率化
はたLuckのシフト管理機能を使うと、従業員はスマートフォンからシフトの確認や希望の提出ができます。管理者は集めた希望を書き写す必要がなく、シフト作成の時間短縮と人的ミスの削減ができます。
さらに、「ヘルプ募集」機能を使えば、人手不足の際に近隣店舗からの応援を簡単に募ることができます。
スムーズな情報共有を助けるコミュニケーション機能
はたLuckの「連絡ノート」機能では、店舗内の業務情報の発信・確認を一元化できます。従業員が情報を確認したかどうかが分かるため、重要な業務連絡の周知徹底が可能です。
また、「トーク」機能を使えば、業務連絡や引き継ぎ情報を気軽にやり取りでき、日々のコミュニケーションがスムーズになります。
マニュアルのデジタル化
はたLuckのマニュアル機能は、マニュアルをデジタル化し、アプリ内で閲覧できるようになります。
従業員は自分のスマートフォンからいつでもどこでもマニュアルを確認できるため、業務の質が向上し、ミスの減少にもつながります。また、マニュアルの更新も簡単に行えるため、常に新しい情報を全従業員に提供することができます。
「はたLuck」を活用したDX事例
ここでは、はたLuckを活用してDXを導入された4社の事例を紹介します。
- 株式会社グレープストーン
- 株式会社東京ドーム
- クロスプラス株式会社
株式会社グレープストーン
株式会社グレープストーンは、「東京ばな奈」などの人気菓子ブランドを展開する企業です。アナログな手法が残る店舗業務の効率化を目的にはたLuckの導入を決めました。
導入後は連絡ノート機能を活用することで、本部とスムーズに連携でき、従業員が働きやすい環境を維持しています。さらにシフト管理も効率化でき、ペーパーレス化が実現できました。
株式会社東京ドーム
株式会社東京ドームは、東京ドームシティを含む様々な施設の運営を行っています。飲食・物販部門では、400名を超えるアルバイトが登録されており、1人の社員が100人以上のシフトを作成しなければならないという課題に直面していました。
はたLuckを導入した後は、「シフト作成」機能によって従来の約70%の時間でシフトを作成できるようになっています。
クロスプラス株式会社
クロスプラス株式会社は、主にレディース衣類の製造・卸売を手がける企業です。ファッションアドバイザー(FA)や、スーパーバイザー(SV)の業務の効率化やマネジメントの難しさを抱えていました。
はたLuckを導入した後は、「連絡ノート」や「トーク」機能を活用して売り場の状況を確認することで、SVの店舗巡回の負担を軽減できています。
社内DX推進のポイントをおさえて、DX化を加速させよう
社内DXには、業務の効率化やコスト削減、従業員エンゲージメントの向上など、多くのメリットがあります。その一方で、組織文化の変革や既存システムとの統合といった課題もあります。
社内DXを成功させるには、まず現状分析と目標設定から始めましょう。必要な機能を洗い出し、自社に合ったツールやシステムを選定することが大切です。
はたLuckなら、シフト管理や情報共有の円滑化、マニュアルのデジタル化など、多岐にわたる業務改善が可能です。導入テストにも対応していますので、社内DXを検討されている場合はお気軽にご相談ください。
はたLuckサービス概要資料、導入事例集

店舗サービス業向け、商業施設向け、それぞれのサービス概要資料をご用意しています。導入事例集も一緒にダウンロードが可能です。

店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。