近年、離職率の高さや低賃金、長時間労働などが主な要因となり、ホテル業界の深刻な人手不足が浮き彫りになっています。
働き手を確保するため、労働環境の改善や福利厚生の充実、人材採用の強化、DX化の推進を模索しているホテルも多くなっています。
本記事では、ホテルの人手不足の実態や、原因と対策を解説します。また、人手不足解消に役立つツールや導入事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
ホテルの人手不足の実態と統計
昨今、ホテルなどの宿泊施設において、人材不足が深刻な課題となっています。
帝国データバンクが2022年4月に実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)」によると、正社員において人手不足を感じている企業の割合は45.9%に達しています。また、非正社員に関しても、27.3%が人手不足を感じているという結果が明らかになりました。
一時はコロナ禍によって客足が遠のき、従業員の不足が緩和されていたものの、再び問題となっているとの報告が寄せられています。コロナ禍が落ち着いた現状においても、ホテル業界で非正社員を含む人材不足が大きな懸念材料となっていることがうかがえるのです。
なお、総務省統計局の労働力調査を基に観光庁が作成した資料によると、ホテル業界における雇用者数の約54%は非正規雇用者です。中でも、女性の割合は約66%と高くなっています。コロナ禍以前と比べると、正規雇用者数は約6%減少し、非正規労働者も約14%減少している状況です。
ホテルが人手不足になる原因
ホテルが人手不足になる原因には、長時間労働や休みが取りにくいといった労働環境、低賃金などが挙げられ、離職率が高い傾向があります。そういった状況にある一方で、インバウンドなどの影響でホテルの開業が相次いでいることも、人手不足の一因となっているのです。
離職率が高い
厚生労働省が公表した「令和3年雇用動向調査結果の概況」によれば、ホテル業界の入職率は23.5%、離職率は全業界の中でも高く、25.6%となっています。
つまり、ホテル業界は人の出入りが激しい分野であるといえるでしょう。職に就いたものの、理想と現実との間に生じるギャップに直面し、多くの人がわずかな期間で離職してしまうという現状があるのです。
賃金が低い
国税庁が発表した「令和3年分 民間給与実態統計調査 」によると、民間企業に勤務する従業員の平均給与は443万円となっています。
これに対し、ホテル業界の従業員の平均給与はわずか260万円にとどまり、国全体の平均給与を183万円も下回る結果となりました。この数値は、コロナ禍以前からほぼ変化していません。
長時間労働である
ホテルや旅館業界は、一年を通じて原則として24時間営業を実施しています。こうした特性が従業員に相当の負担をかけているケースは少なくありません。
ホスピタリティの向上を追求する中で業務量は増加し、その結果、時間外労働などの労働環境悪化の要因となっている可能性が考えられます。
休みが取りにくい
厚生労働省が公表した「令和4年 就労条件総合調査の概況」によると、1年間に企業が付与した年次有給休暇日数は労働者1人平均17.6日で、このうち労働者が実際に取得した日数は10.3日という結果になっています。
ただ、宿泊業(飲食サービス業含む)では、企業が労働者1人に付与した年次有給休暇日数が14.8日に対して、労働者が実際に取得した日数は6.6日でした。労働者1人あたりの平均年次有給休暇取得率も全業界平均が58.3%であるのに対して、44.3%と著しく低くなっています。
この数値は、ホテル業界が全職種の中でも休暇を取りづらい状況にあることを示しています。休めない状況は離職率とも密接な関わりを持っているといえるでしょう。
相次ぐホテルの開業
特に近年は東京五輪の開催に合わせ、国内外からの旅行者に対応するため、数多くのホテルが新たに建設されました。これに加え、円安の影響や外資系ホテルの進出などが相まって、国内観光業界には期待感が高まっています。
コロナ禍で一度離職した従業員の復帰に期待がかかるも、ホテル業界において働き手が不足している状況です。業界内では人材確保の競争が激化していると考えられます。
ホテル業界の人手不足を解消するための対策
ホテル業界の人手不足を解消する対策として、労働環境の改善や福利厚生の充実が挙げられます。さらに人材の採用と教育を強化するほか、DX化により業務効率化を図ることも重要です。
労働環境の改善をする
人手不足の問題に取り組む際には、従業員の獲得だけでなく、離職率の抑制と人材の流出阻止が課題です。この課題に対処するためには、業務内容の見直しによる従業員の負担軽減と、待遇の見直しが欠かせません。従業員が働きやすい環境づくりに注力することが必要です。
具体策としては、以下の内容が挙げられます。
- 長時間労働の是正と報酬の引き上げ
- 同一労働に対する同一賃金の原則の導入
- シフトの見直し、労働時間の短縮
- 固定シフト制の導入
- 年間休日数の再評価
- 業務のIT化による生産性向上
これらの手段を駆使して、働く環境の改善を図り、労働力の確保と定着を両立させることが重要だと言えるでしょう。
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福利厚生を充実させる
従業員の「長く働き続けたい」という意欲を喚起するために、福利厚生の充実も欠かせません。
たとえば、育児や介護に関する休暇制度の整備、婦人科受診の費用負担、レジャー施設の割引制度の提供といったものが挙げられるでしょう。充実した福利厚生を通じて、職場環境の質を向上させ、従業員がより働きやすい環境づくりを推進することが大切です。
人材の採用と教育を強化する
人手不足の課題を解決するには、長期間にわたってホテルに貢献し続けられる人材を育成することが求められます。
この課題に対処する方法として、人材育成の仕組みを構築することが重要です。業務の一部を適切にマニュアル化しておくことで、新たな人材の育成にかかる負担を軽減することができます。マニュアルの整備は「個人によって異なる指示や行動が生じる」という問題を未然に防ぎ、高水準なサービス品質を確保することにも寄与します。
また、ホテル業界へ未経験から転職する人にとっては充実したマニュアルがあることが心の支えとなる場合もあるでしょう。
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DX化やIT化を推進する
多くの宿泊施設が、業務の効率化と従業員の負担軽減を図るため、デジタルツールの導入を行っています。
たとえば予約や客室管理の自動化、自動チェックイン機の導入はその一環として挙げられます。観光案内のAI化も注目を集めつつあり、問い合わせ対応においてはチャットボットの活用が一般的となってきました。自動車ナンバーと宿泊履歴の自動照合などができるツールもあります。
それ以外にも、清掃業務におけるロボット活用や人感センサーの設置、在庫管理の自動化なども衛生面や効率性の向上を図るものとして注目を浴びています。
これらの取り組みが宿泊施設の運営を効率化し、人手不足解消につながると考えられています。
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「はたLuck®」でホテル業務をDXして人手不足を解消しよう
ホテル業務をDX化するなら「はたLuck®」の活用がおすすめです。はたLuck®には、ヘルプの調整がしやすい「ヘルプ募集」機能や、人材育成を効率化できる「マニュアル」機能などが備わっています。
「ヘルプ募集」機能でヘルプの調整がしやすい
「はたLuck®︎」には、複数の店舗間でシフト調整を円滑にできる「ヘルプ募集」機能が備わっています。繁忙期や特定の時間帯においても、スピーディーな支援の要請と応募が可能となり、人手不足の緩和に寄与します。
日常的にマルチタスクを取り入れ、さまざまな業務やポジションに適応できる人材を育成することによって、急なヘルプ調整も柔軟に行えるようになるでしょう。
「はたLuck®︎」の「ヘルプ募集」機能を積極的にホテル内で活用することで、もっと働きたい従業員とシフトの空きをマッチングさせ、効率よく人材を確保しつつ、ヘルプに入る従業員自身も貴重な経験を積むことができます。さらなるスキルアップにもつながることでしょう。
はたLuck シフト管理機能概要資料
シンプルで使いやすいUIで、シフト申請・調整・確定・確認の全ての業務が管理可能です。他にも売上予測に基づいた適正シフトや近隣店舗と人材シェアが可能なヘルプ募集機能など豊富な機能をご用意しています。
「マニュアル」機能で人材育成を効率化できる
「はたLuck®︎」には「マニュアル」機能があり、アプリ内で手軽にマニュアルを共有することが可能です。
従業員は、自身のタイミングに合わせてマニュアルを閲覧できるため、業務の事前準備や復習だけでなく、業務中に生じる疑問点についても、個別に確認することが可能です。
また、マニュアルを共有しておけば、一人で複数の業務を担当しやすくなります。つまり、異なるポジションを担当する際に、それぞれの業務について最初から教育を行う手間が省けるのです。
「はたLuck®︎」を活用することで、複数の異なる部門に従事する場合に人材の適応がスムーズになり、人手不足の解消が期待できます。
「星を贈る」機能で従業員のモチベーションを維持できる
従業員の満足度やモチベーションを向上させるひとつの手段として、「星を贈る」機能を活用するのもおすすめです。
「星を贈る」機能とは、「感謝」や「応援」の気持ちを表す手段として「はたLuck®︎」に備わっている機能です。たとえば多忙な時間帯に業務を手伝ったり、ヘルプに入ったりした従業員に「星」を送ることで、モチベーション向上が期待できます。相互に「星」を送り合う文化を醸成することで、職場環境の改善につながります。
従業員のモチベーションは、業務の質と顧客満足度の向上に影響があるだけでなく、離職率を低下させることにもつながります。最終的には人手不足解消にも寄与すると考えられます。
「連絡ノート」機能で部門を超えた情報共有
「はたLuck®︎」には、業務連絡を共有する「連絡ノート」機能が搭載されています。
「連絡ノート」は、各部署の連絡を確認できるタブが備わっており、横断的に他部門との情報共有を行なうことが可能です。円滑な業務の遂行に必要不可欠な情報共有がスムーズになるだけでなく、さまざまな部門の状況をリアルタイムで把握でき、多忙な期間や時間帯においても異なる業務を同時に遂行することができるようになります。
この機能は、マルチタスクが求められるホテルにおいても有用です。従業員は、より高い安心感を持って効率的かつ効果的に業務に従事することが可能となるでしょう。
ホテルで「はたLuck®」を導入した事例
ここでは「はたLuck®︎」を導入し、マルチタスク人材の育成に活用しているホテルの事例を紹介します。
株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメント様
全国規模で100棟以上のホテルや旅館を展開されている株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメント様。従業員間のコミュニケーション活性化を目指し、新たな施策として「はたLuck®」を導入されました。
特に「連絡ノート」機能を活用したことで、情報や人的ネットワークが活発化しました。その結果、従業員のマルチタスク化が進み、複数のレストラン業務に対応可能な人材が増加しています。
さらに、各従業員の専門的なノウハウを共有する環境が整ったことにより、サービスの質の向上を実現しています。
また、契約期間が満了した派遣従業員が、その後も再び同じ現場で働くケースが増え、人手不足解消にもつながっています。
ツールやアプリを活用してホテルの人手不足を解消しよう
ホテル業界の人手不足の要因には、離職率の高さや低賃金、長時間労働、休暇の取りづらさなどの問題が挙げられます。これに対処するためには、労働環境の改善や人材育成、DX化による業務効率化が重要です。
「はたLuck®」では、さまざまな機能により人手不足の解消を支援しています。「ヘルプ募集」機能ではもっと働きたい従業員とシフトの空きをマッチングさせ、効率よく人材を確保し、「マニュアル」機能では従業員のスキル向上をサポートします。
ホテルの人手不足を解決する一助として、「はたLuck®」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
はたLuckサービス概要資料、導入事例集
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店舗DXコラム編集部
HATALUCKマーケティンググループのスタッフが、記事の企画・執筆・編集を行なっています。店舗や施設を運営する方々向けにシフト作成負担の軽減やコミュニケーション改善、エンゲージメント向上を目的としたDXノウハウや業界の最新情報をお届けします。